ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
アメリカの偽ドル札の銅板を持って脱北した北朝鮮の警察官のチャ・ギソン。事態を重く見た上層部は彼の元部下であり、裏切りにあって仲間を殺されたイム・チョルリョンをソウルに派遣。銅板の事を韓国側に伏せたままの南北初の極秘共助捜査が始まった。その相手をするのが、何故か最近は運が無いカン・ジンテ刑事。監視の指令込みの任務に嫌々ながらもチョルリョンと共に捜査をするが、やがて二人の間には国を超えた絆が芽生えてゆく。
バディ捜査モノの魅力といえばタイプの違う二人が捜査を続けてゆくうちに友情が芽生えてそれがクライマックスでは見事なコンビネーションで爆発する。だろう。分かりやすい例でいえば『リーサル・ウェポン』のクライマックスがそうだ。そして『コンフィデンシャル』もおそらくは『リーサル・ウェポン』をお手本にしているところがある。
もう少し突っ込んで書けば、ハリウッド映画のバディ捜査モノの基本は問題解決のために互いを理解してゆく過程が描かれてゆく。そうして何かしらの垣根を超えた2人から友情が生まれるパターンだ。
しかし、この映画ではコンビ誕生のプロセスが友情パターンのハリウッド映画とは違っている。どうやら、いまや日本では廃れた感がある義兄弟の概念を使っている。三国志演義でお馴染みの桃園の誓いで生まれた劉備・関羽・張飛の3人の義兄弟の事でもある。前フリでギャグぽっくジンテに兄弟の事を匂わして、中盤にジンテの人情、端的いうと彼の家族、に触れたチョルリョンとジンテがクライマックスでは国や政治を超えた義兄弟の契りを結んだ体になっている。それを暗示させるのはジンテの妻がチョルリョンに「彼を守って」と頼んだらチョルリョンもそれを了解しているところだ。友情ではなく「ジンテとチョルリョンがどうやって義兄弟になるのか?」このドラマの一番の見所はそこだ。だから、チョルリョンがジンテに「兄貴」と声をかけるのは、この映画で最も胸が熱いところでもある。逆にいえば、ハリウッド映画のノリで観るとここは少し肩透かしを感じるかもしれない。
あとはやっぱり韓国の北朝鮮との融和政策がこの映画にも反映されているのは誰にでも感じるところだ。ジンテの家族が北朝鮮の食糧事情について会話をしてもその根本までにはいかないのも配慮のひとつだろう。
その二つのとまどいを考慮に入れてもアクション映画として思った以上に楽しませてくれる。特にアクションとしては二つ見所がある。一つ目は最初の追跡アクション。二つ目は紙の素材を使った格闘アクションだ。この二つを観れただけでも充分に元は取れる。
個人的には『バーフバリ』以来のアクションの面白さを感じたのが『コンフィデンシャル/共助』だ。
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