えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

星の子

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

    

 今日のポエム

彼女たちは幸せになれたのだろうか?

 

映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!

 

そして今回のキーワードは

 

それでも家族!

 

今回はネタバレスレスレ。

 

 前回ブログに理想の家族を書いたので、今回は危なげな家族について書いてみたい。

 

本作は芥川賞候補にもなった今村夏子の同名小説の映画化だ。(自分は未読)

 

物語は赤ん坊の頃に罹った病を治したきっかけに新興宗教に入信した両親と共に暮らし、それに馴染んでいた暮しのまま中学三年生になった主人公ちひろ。その彼女が好きになった相手が、偶然に見てしまった両親の儀式が非難されたのをきっかけに両親に対する心の揺らぎを描いた流れであり、ドラマもそれにそっている。

 

なので、本作の見所はちひろを演じる芦田愛菜になる。新興宗教の入信者を一番近い視点で観る、それはまだ入信していないちひろの心情が観客である自分たちとシンクロしているからだ。そして、この難しい役を芦田は見事に演じているのは素人の自分でも感じる。特に黒木華芦田愛菜がすれ違うシーンは個人としてドキドキした。現在の大女優と将来の大女優のそろい踏みだ。まだ黒木華が優勢なのだが。

 

ちなみに、ラストの解釈は「それでも家族は家族」だ。

 

ラストシーン -- 本作のクライマックスでもある -- ある光景をちひろと両親は眺めるが、その瞬間を一緒には見ることはない。ただ、バラバラには見る事になる。

 

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(C)2020「星の子」製作委員会

それは、まるでボタンを掛け違えた装いだ。もちろんボタンを掛け違えているので、人から見たら不格好だが、それでも服は着ている。なので、ちひろと両親(それと姉)は不格好な関係をしばらくは続ける。そのこれが自分の見立てだ。

 

ただ、その平穏な時期も数年後には崩れるだろう、エドワード・ファーロングで。(画像はIMDb)

 

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エドワード・ファーロングとはジェームズ・キャメロン監督の『ターミネーター2』で人類の救世主の少年時代を演じた俳優だ。そして、その公開は1991年だ。つまりその4年後に当時の宗教団体オウム真理教が東京の地下鉄で神経ガスを流して多数の死傷者を出した世界でも類をみないテロである地下鉄サリン事件を起こすのだ。

 

本作の登場人物たちはスマホを使っている描写がない。だから舞台設定は1991年あたりだと見るべきで、そしてこの時代は今でいうカルト宗教が新興宗教として世間からはまだ物珍しい存在として見られていた時期でもある。これが平穏な時期の意味だ。

 

だが、その平穏もやがては破られるのは目に見えている。そのときちひろたちはどうなるのだろうか?ここだけではなく様々な余白を残して本作は終わるのである。

 

劇場で鑑賞。

 

 


『星の子』コメント付き予告

 

 

星の子 (朝日文庫)

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