ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
今日のポエム
まなざしこそが繋がり。
映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!
そして今回のキーワードは
理想の家族!
今回はネタバレスレスレ。
本作は実在する写真家・浅田政志とその作品である『浅田家』と『アルバムのチカラ』の二つを原案にした物語だ。前半は主人公にとって兄の視点から父の影響を受けてカメラに没頭する政志に振り回されながらも政志が本職のカメラマンになってゆく過程を描いてゆき、後半は2011年9月東日本大震災で家と家族を失った人々に出会った政志が、ある難題をどうやって乗り越えられるかが描かれる。だから構成は二部になっていてる。
しかし、ドラマはひとつだ。家族とは?だ。
そして、感想から言ってしまうと本作の監督である中野量太の『湯を沸かすほどの熱い愛』、『長いお別れ』が面白かったなら本作も面白く感じるだろう。そして、逆に本作から観て、それが面白く観れたのなら先に上げた2作も面白く観れるかもしれない。ある家族がいて、それをかき回す存在がいる設定はそのままだし、死が表れるのも同じだ。しかし、上記二作がハイティーン以上が対象に対して本作は実話を基にしているのでミドルティーン以上から観られる出来になっているからだ。
そして本作の家族とは?とは解釈はスバリ「まなざし」だ。
後半の政志に降りかかる難題を、「まなざし」で乗り越えてゆくし、それが、前半の物語と合致してゆく、ちょっとした感動が本作にはある。そして、そのちょっとさがいい。本作はそんな感じだ。
もちろん、その「まなざし」は肉親だけとは限らない、政志が子供の頃に撮った幼馴染に向ける「まなざし」が、本当に浅田家の家族になってゆく過程をゆる~く描くことで「まなざし」を重ね合う者どおしが家族なのだという事をこれまたゆる~く暗にして訴える。それで前半のアレヤコレヤの顛末が後半でピッタリと決まる段取りになっているのだ。
ただ、そのために本作では一般的な家庭の常識から外れた感がする浅田家が、ある種理想の家族として描かれているころがある。そして、これが実話を基にしたものではなくて完全なフィクションなら、評価が二つに分かれたかもしれない危うさはある。
しかし、マイナスにマイナスをかけたらプラスになるように、常識外に常識外をかけたら標準になったのが本作だ。そしてここにあるのは普通の家族の姿なのだ。
とはいっても、こんな変なことを考えているのは自分だけだろうし、題材にもかかわらず、本作は心温まるコメディだ。語意地を張らずに楽しめる。
個人的には黒木華演じる川上若菜が結婚を迫る勝負服に、大笑いするのをこらえていたくらいなのだから。そして、それが強烈だったから、今この感想を書いている。
あとエンドロールは最後まで観なさい!
劇場で鑑賞。