怪 獣&SFのジャンル映画の監督であると一般的には評価されている本多豬四郎は世界中の映画ファンに愛された存在だった。その影響いわゆるオタク世代の作り手たちに多大な影響を与えている。「ぬっと表れる感角(ゴジラ)」は『ジョーズ』(スティーブン・スピルバーグ)で表れている。「ゴジラになった人間(マタンゴ)」は『パンズ・ラビリンス』(ギレルモ・デル・トロ)で表れている。「新しい怪獣映画の話をしよう(大怪獣バラン)」はそれこそ『GODZILA』(ギャレス・エドワーズ)で表れていた。
通読しての率直な感想は本多監督はやはり巨匠とは思えなかった。“ 巨匠 ”に付き物の偏執的なところが本多監督には感じられない。黒澤の過剰な情熱、溝口の過剰な粘り、小津の過剰な徹底、成瀬の過剰な視線、木下の過剰な冷徹、大島の過剰な怒りが感じられない。逆に真摯だ。
真摯というのは、対象に撮る際にカメラは大体が固定で、奇抜なカメラワークやカットやカット割りは無い。巨匠がそれをするのは受けを狙うためではなくて対象を鋭く捉えるためだ。そして、カメラを固定して撮影するのは巨匠以外の職業監督の通常のやり方である。だから個人的な考えをいえば……
だから、本来なら映画史では埋没されかねない作品群が世界中のファンをつくることになった。イカモノ、ゲテモノといわれるジャンルに照らし出された “真摯” さにファンは魅了されたのかもしれない。
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