ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
人類が地球以外の惑星に移り住み宇宙帝国を築いた未来。皇帝の命により、抗老化作用のある秘薬「メランジ」が生産される砂の惑星デューンを統治することになったレト・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック)は、妻ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)、息子ポール(ティモシー・シャラメ)と共にデューンに乗り込む。しかし、メランジの採掘権を持つ宿敵ハルコンネン家と皇帝がたくらむ陰謀により、アトレイデス公爵は殺害されてしまう。逃げ延びたポールは原住民フレメンの中に身を隠し、やがて帝国に対して革命を決意する。
シネマトゥデイより引用
映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!
今日のポエム
地の視点のSF
今回はネタバレなしの解説モード。
ハイ、つかみはOK!(byダチョウ俱楽部)
今回はこんな感想かな。
実は本作は邦題にはないが、PART ONE。忠臣蔵で例えたら赤穂城明け渡しで終わるようなもの。
なので物足りなさを指摘してもいいのだけれども、確かに原作の半分もあんな感じなので、だから原作ファンが本作に不満を言い出すとは思えない。
SF作家フランク・ハーバートが著した大元のアイディアは産業革命依然の中世的世界の権謀術数を描き、そこに西欧人が非西欧世界飛び込むことで英雄になるという貴種流離譚なので、だから物語よりも、そこからくる豊富なディティールが魅力。なのだけれども、現在その部分は本書から影響を受けた派生作品で使いつかされた感がある。
SWやジ〇リでこれ見たよみたいなオンパレード。
原作?知らんがな!な人が起こるのは当然だけど。
しかも今なお世界中に熱烈なファンがいるので妙な捻りを変えたら総ツッコミされるのは間違いない。結構に厄介な題材だ。
そんな本書を監督のヴィルヌーヴはどう料理したかというと、構成と設定はほとんど変えずに愚直にも自身のスタイル「登場人物と共に観客も当事者として、その環境に放り投げる」をやった。やってのけた。
これぞシネマ・エクスプリメント!(言ってみたかっただけです)
でも実はこれって、『プリズナーズ』(2013) や『ボーダーライン』(2015) でやっている事で、さらに『メッセージ』(2016) や『ブレードランナー2049』(2017) でもやっていた事でもある。そして本作でもそれをやっているだけ。(画像はIMDb)
だから、愚直で自身のスタイル。
でもファンタジーは世界観を語らないといけないから、どこかで第三者または神の視点 -- 具体的にはナレーションとか、『スターウォーズ』や『ロード・オブ・ザ・リング』ばりの高所から見据えた画づくり -- を入れないと成り立たないけど、ヴィルヌーヴは地を這う人の視点でしかドラマを紡げない。その齟齬がココには表れてている。
しかも背景にリアルという枷がある『プリズナーズ』と『ボーダーライン』はそれがサスペンスとして機能・成立しているのに比べて本作にある背景は完全な架空なので枷がないためにサスペンスが機能していない。だからメリハリが乏しい。さらに世界観よりも個々の心情に寄り添うためにスケール感に乏しい。
結論。ヴィルヌーヴ監督はガチファンタジー撮るのあんま上手くない!
でも、砂は良かったのだよな。リアルな枷がソコだったから?
本作はティモシー・シャラメと砂を愛でる作品です。
だから自分はOK! (そんな奴です)
さっさと次を作っちゃって下さい!
そしてそれが終わったら、また『プリズナーズ』や『ボーダーライン』の世界に戻ってきて。
劇場で鑑賞。