えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

キングコング (1933)

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

  

今日のポエム

目と目で通じ合わない

 

 

映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!

  

そして、キーワードは。

 

 モンスター映画のキモ!

 

今回はネタバレ無しの解説モード。

 

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(C)2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

先ごろ5月日本劇場公開『ゴジラvs.コング』の予告動画が公表された。

 

祭りがはじまる!

 

そこで、当ブログも映画公開までに不定期だがキングコングと名のつく作品についての感想を書く事にした!ゴジラはすでにやっちゃたからな!

 

それで、まずは、すべての原点である。1933年公開の本作についてなのだが……

 

語るところが無い(苦笑)

 

もう、観ていなくても名だけは知っているクラシックな名作だからだ。これに文句を言う人はよほどの捻くれ者だろうと分かるくらいにだ。

 

たから、今回は別の視点で語る。

 

本作は作品本来の評価とは別に、映画史の視点でも評価され尽くされている。そしてその要点は二つにまとめられる。

 

A: 人間以外の映画スターの誕生。

B: 映像技術革新が興行としての成立するきっかけを作った。

 

この二つだろう。

 

Aは簡単に云えばキャラクターコンテンツを意味する。この三年前に蒸気船ウィリー(1928) でミッキーマウスが誕生した状況も合わせて、ギャラ上げもせず、クスリやセックスなスキャンダルなどに巻き込まれずに、且つ、永遠に -- 作品はパブリックドメインとなるが、キャラクターは商標なので、ビジネスとしては他が使えない -- その管理集団に利益を生む映画スターがここに確立された事になる。

 

Bは、少し複雑になる。映像の技術革新とは1から突然に誕生したのではなくて、例えば、甲の技術と乙の技術との融合で誕生したものが興行的成功を導く傾向が作られた事だ。

 

本作『キングコング』以前でも人形アニメ(非人間)は存在したし、特撮(スペクタクル)も存在していた。もちろん演技をみせる実写(人間)も存在した。

 

だから、その映像技術革新とは、人形アニメ(非人間)と特撮(スペクタクル)と実写(人間)との融合になる。今でいうところのCGと特撮と実写が融合した『ジュラシック・パーク』(1993) に近い出来事だったのだろう。

 

と、ここまでは、映像・映画ビジネスの側面だか、本題をサラッと語りたい。

 

本作はいわゆるモンスター映画のお約束のパターンをいくつか生み出しだが、その中でも、見過ごされがちだが、大きな一つが後々に多大な影響を与えている。それは料理でいうところの秘密のスパイスのようなものだが、その描写演出がピシャリと決まっているかで、より多くの人々の記憶に刻まれるのが決定してしまうほどにだ。それは……

 

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キングコング (1933)

怪獣と人がアイコンタクトをする。そして人が恐怖する。

 

これだけ。でも、極端な事を言えば、これさえキメれば怪獣(モンスター)映画として成立するのも確かだ。事実、名作と言われている『ゴジラ』(1954) や『ジョーズ』(1975) の作品などにも巧く描写されているし、また、巧くなくても、そういったジャンルには必ずと言っていいほどに出てくる。

 

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ゴジラ

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ジョーズ

特に新しいモンスターを印象づけるには必ず必要になる描写だ。これが巧くできるかどうかで、そして劇的になればなるほど、そのモンスターが後世に語られる事になり、そのシリーズが延々と作られる。くらいにだ。これが秘密のスパイスだ。

 

もちろん、単純にそれらのシーンを分析するなら、これは画を幻想的に描写にする反自然主義であるドイツ表現主義から生まれたひとつである『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922) からの引用であるのは一目瞭然だが『ノスフェラトゥ』と本作『キングコング』との違いは前者が、あくまでも記号の組み合わせのみで成立しているのに対して後者『キングコング』はエモーショナルなところまでレベルアップしているところだ。

 

つまりは、本作でパニック描写が誕生したことに他ならない!

 

または映画で男と女とが目を合わせる愛が芽生えたり、男と男が目を合わせると友情が生まれるのに対して、人が人外(または人外な何か)と目を合わせる行為とは、その相手との拒絶というモンスター映画の典型が発明されたといぅても良い。

 

さらに突っ込んだら、これはグリフィスモンタージュの応用でもある。グリフィスモンタージュとは映画編集の技法の一つであり、その要点は映画の登場人物達の視線の動きとカメラワークによる画のシーン繋ぎで、我々観客の感情をコントロールする演出であり、現在の映画の大部分はそうだ。だが、人どおしではなく、人と人外ではそうなってしまうという事柄は、その者(観客)の無知からくる嫌悪感を利用しているのは誰でも理解できるはずだ。

 

ともあれ、本作が登場する前は、以前に使われていた特撮とは歴史的出来事や宗教的出来事の再現であり、それは当時の観客に崇高な驚きを与えていたが、本作以降は、より観客の感情を揺り動かす下世話な見世物の要素が強くなったのは想像できるし、そしてキングコング以降も数々のモンスター映画は撮られたが、本作に匹敵するキャラクターは日本のゴジラだという事実は「ゴジラキングコングの二番煎じでもっとも成功したモンスター」なのは間違いないのだ。

 

サラッと語るつもりが、長くなってしまったが、今回はこれで終了。

 

VOD&DVD鑑賞。

 


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