えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

さよならジュピター

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

2125年。地球人口は180億、太陽系宇宙空間の人口は5億に達していた。宇宙に住む人々は新しい資源とエネルギーの開発を推進し、火星では極冠が融解され、水資源が確保された。極冠のあとからペルーのナスカと同じパターンの地上絵が発見され、宇宙言語学者のミリセント・ウィレム博士は木星のミネルヴァ基地に向かう。ここでは本田英二をチーフにしてJS(木星太陽化)計画が進められていた。JS計画とは、地球連邦大統領直属のSSDOが推進しているプロジェクトの一つで、木星を第二の太陽にすることにより、木星以遠の太陽系惑星に新しいエネルギー源を提供しようというのだ。ミリセントは「ナスカや火星の地上絵は宇宙人のメッセージであり、木星に彼らの正体を解く鍵があるらしい」とJS計画の一時中止を求める。自然保護団体の一つで歌手のピーターが教祖のジュピター教団もJS計画に反対し、ミネルヴァ基地に破壊工作員を送り込んで来た。本田はその一人、マリアを見て驚く。彼女とは同じ火星で生まれ育った幼なじみだったからだ。本田はマリアとラブルームで無重力セックスを交す。ミリセントは祖父のSSDO総裁ウェッブに頼みこんで、本田と木星大赤斑を調査し、長さ120キロもある物体が存在していることをつきとめる。このところ、彗星の数が減少する異常事態がおき、井上博士とキン大尉がスペース・アローに乗って調査に出かけていた。しかし、途中でスペース・アローは消滅してしまった。同宇宙船の事故を分析した彗星源探査本部のムハンド・モンスールは、ブラックホールが太陽系に向かっていることをつきとめる。月にあるSSDO総裁室で会議が開かれ、その席で本田はブラックホールが近くをかすめる時に木星を爆破させてブラックホールの進路を変更させたらどうかと提案する。大統領の賛成を得て、提案は実行されることになった。残された時間は、あと二年。

映画.comから引用

 

映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!

今日のポエム

超古代文明ブラックホール

 

 

今回はネタバレスレスレの回顧解説モード。

 

 まさか令和の時代に『さよならジュピター』が注目されるなんて。

 

ありがとうすべてのエヴァンゲリオン

 

ただ、本作の評価は世間では最底辺だし、自分の感想は、ショボい!これにつきる。

 

元々、最初からあの予算で映像化できる物語ではないし、やるなら採算を無視して赤字覚悟でやるか、あきらめるのかのどちらかしかない。まぁ、その出来は中途半端で観る価値が無い。というのが考えだ。

 

それでも年に一度は観返してはいるけど。

 

矛盾しているのは百も承知!ダメな作品でも愛する映画だめんずの自分のためにあるようなのが本作だ。

 

さて、今回はそんな本作の感想ではなくて、物語の部分。「ジュピター教団とか宇宙考古学とかジュピターゴーストとか余計な枝葉は付けずにストレートに、やって来るブラックホールを回避する物語にしとけばよかったんじゃないの?な疑問に答えるための解説をすることにします。

 

でも、ジュピター教団はどうして地球滅亡のためのテロ起こしたのは解説しなくてもいいと思う。昨今の事情を鑑みれば一目瞭然だから。

 

公開当時は反知性でカルト信仰に近い環境テロなんて存在はそれほど世間には知られていなかったが、現在では誰にでも衆知される存在になったからだ。

 

だから、残りのふたつ、宇宙考古学とジュピターゴーストについての解説だけをしたい。しかし、それに対する答はこれしかない。

 

木星の質量で衝突コースを変えることができるブラックホールは自然発生的には誕生しないからだ。

 

超簡単に概要を語れば、恒星、つまりは星の最後の成れの果てであるブラックホール相対性理論から予測されその存在が確認された天体だが、ここはそれを離れて単純にニュートン力学の視点でのみで語ると、木星をぶつけて衝突コースから回避させるには本作のブラックホール木星の質量(今回は単純に重さと考えても良い)と同等かそれ以下の質量でなければいけないが、そんなものは木星の質量程度では自然に誕生しないからだ。物凄く雑な説明をすると、ブラックホールとはつねに核融合反応を起こしている恒星の状態が必要であって、木星のようなガス惑星ではブラックホールに変わるシナリオなど現在でも存在はしないからだ。

 

だから仮に自然発生のブラックホール木星をぶつけても、それは硬球にビー玉をぶつける様もので硬球は大きく動くことはないのと同じで無意味だ。

 

またまた、仮に木星核融合反応が起こって恒星化したら木星も最終的にはブラックホールになるのかといえば、それはならない。ブラックホールはチャンドラセカール限界からの条件、太陽の1.4倍以上の質量を持っていなければいけないからだ、早い話、太陽はブラックホールになるには質量が足りない。だから自然発生的にはならないし、ましてや木星など無理だと分かる。

 

kotobank.jp

 

それでは本作のブラックホールは何なのかといえば、人工的に作られたモノだと考えるしかない。つまり、どこかの超文明の技術が人工ブラックホールを作り出したが、事故を起こして、そこから漏れ出して太陽系に侵入してきたと考えるしかないのだ。-- 映画では描かれてはいないが、原作だと火星のナスカ紋を解読したら超小型のブラックホールからエネルギーを取り出す技術らしきものが超文明に存在していた事を示唆している。

 

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さよならジュピター

そう、木星と同等の質量のブラックホールの存在をリアルにするなら、超文明の存在とそれを研究する宇宙考古学とジュピターゴーストがどうしても必要になる。だからこその超文明でありジュピターゴーストと言っても良い。

 

これは意図として考えられているのはあきらかだ。そしてこの宇宙は結構に狭い。それは地球の狭さから飛び出した人類が宇宙の広さを実感している描写と対になっているのだ。そしてそれは、人類がこれから示す未来も暗示しているのが察せられる。

 

そのことを別ブログで解説している。 

ko-iti301083.hatenablog.com

 

そこから見えてくる本作の真意とは、日本のSF映画が欧米のSF映画2001年宇宙の旅』(1968)や、その影響下にある『インターステラ―』(2014)などとは違うクロニクルにしたかった。という原作&総監督小松左京の強い意志だったのだ。

 

 DVDで鑑賞。

 

 

  

さよならジュピター オリジナル・サウンドトラック

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