えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

東京暗黒街・竹の家

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

日本の富士山麓で列車ギャング事件が起こり、アメリカ軍の兵器が 奪われ、軍曹が殺される。東京警視庁のキタ警部(早川雪洲)はアメリ憲兵隊と協力し、ハンスン大尉(ブラッド・デクスター)と共に捜査に乗り出す。数日後、ギャングは東京の工場を襲い、その時傷ついた一味の1人ウェッバーが逃げおくれて死ぬ。ハンスン大尉は男の所持品の中からスパニア(ロバート・スタック)という男の手紙を発見し、その内容から、スパニアがアメリカの刑務所に入っていること、出所したら東京へ来ることなどが判明する。またナゴヤマリコ(シャーリー・ヤマグチ)という日本人の女性の写真も発見され、この女はウェッバーと結婚していたのである。東京へ来たスパニアはマリコに会い、ウェッバーが殺されたことを知る。

映画.comより引用 

 

映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!

 

今日のポエム

素描のニッポン

  

今回はネタバレ無しの解説モード

 

センセーショナル イン ジャパン!

 

今回は間がもたないから、合間合間にこれを挟む。

 

さて、(と強引に展開)よく、「(この映画に) 感動しました!」という言葉を耳にするが、身も蓋もない言い方をすると、所詮感動なんてものは、自分たちが見たかった&見たいものを想像のチョイ上の物語&ドラマにしか過ぎないのであって、皆が言う「面白かった」とはそんな想像のチョイ上なだけであり、「つまらなかった」は想像よりも下だった。と表明しているにすぎない。

 

これはプロでもアマチュアでも同じ事。ただ違うのはアマチュアは情報量の少なさと表現力の拙いからだが、プロは情報量も高いし表現力も豊かなだけ。

 

まあそこで、作り手等はやりたい事や伝えたい事を脚本・キャスト・映像・視覚効果等々、あらゆるテクニックを使ってソレをやるのだが、たまにそんなまどろっこしいことなどやらずにストレートにぶん殴ってくる作り手もいる、それを一言で表すと骨太。

 

本作を監督したサミュエル・フラーもそのタイプだ。なにせ、いきなりストレートパンチを打ち込んくる。

 

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東京暗黒街・竹の家


センセーショナル イン ジャパン!

 

なんじゃこりゃ~!

 

いっとくけどもこれだけじゃないぞ。本作における富士山のこだわりは。

 

あと、風呂桶。

 

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東京暗黒街・竹の家

センセーショナル イン ジャパン!

 

本作はソレに何か意図あるらいしいのだが、まったくわからん!

 

いやひょとしたら、お風呂とポーチドエッグで、温泉と温泉卵を表しているのかもしれないが……。(弱気)

 

でも、見世物な下品さは感じられない。だから、本作は公開当時に国辱と批判れつつも片や超コア映画ファンからは今でも一目置かれている。


もちろん、本作に映し出される日本はかつて戦った敵であった存在がアメリカの庇護下で、新たなる国家としてよみがえった姿をアメリカ国民に知らしめる意図もあったのだろう。

 

そして、小津安二郎東京物語』(1953) とほぼ同じ時期、敗戦のショックから立ち直り、ようやく自信を持ち始めた日本の光景であり、60年代からはじまる高度経済成長前夜の日本の雰囲気をカラーで見ることができる貴重な作品でもある。

 

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東京暗黒街・竹の家

『情無用の街』(1948) ーー 自分は未鑑賞 ーー のリメイクであるのに物語やドラマとは関係のない感動を観る者にもたらす。そんな本作は映画、というよりも芸術(純粋&商業の両方) の根本を露わにしてもいる。

 

とにかく感動させちまえば、こちらの勝ち!

 

まさしくにソレ。

 

なので、imdbトリビアを読む限り「東京でゲリラ撮影をしたかったので当時の映画スターのハンフリー・ボガートはあえてキャスティングしなかった」のエピソードを信じるなら、フラーの目論見は、日本を舞台にした映画を撮る事ではなくて、当時のニッポンのすべてを写し撮ることにあったと考えた方が良い。

 

それならば、こんなフィクションにせずにドキュメンタリーにすればよかったのに。と誰もが思うのだろうが、ドキュメンタリーは正確さがどうしても必要になるために、すべてを写し撮ることなぞ不可能に近い。上映時間が5時間もあればまた別の話だが。だから、どうやってもカットしなければならない箇所は出てくる。すべてなんて無理に決まっている。

 

だから、スケッチブックに書き写すように撮る!

 

そう、本作は映画監督サミュエル・フラーが、画材ならぬフィルムにデッサン・ドローイング・素描したニッポンの姿なのだ。

 

だから、形さえ整っていれば、それは様になるのは当然。

 

そしてこの感覚が、当時のフランスヌーベルバーグ等の心にビンビンに響いたのはそんなところだ。

 

そして、それは第七芸術に位置する映画の見も蓋も無い真実の一篇でもある。物語やドラマが意味不明でもとにかく様になってれば人は感動する。と。

 

だから、幕末日本の姿を描いたチャールズ・ワーグマンの風刺画が今でも名が残っているようにフラー監督の戦後日本の風刺画もまだまだ廃れない。

 

最後に……

 

センセーショナル イン ジャパン!

 

DVDで鑑賞。

 

  

    

 

 

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