ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、禁断の呪文によって時空をゆがませ、マルチバースの扉を開いてしまう。世界を元通りにするため、彼はスカーレット・ウィッチことワンダ(エリザベス・オルセン)に助けを求めるが、時すでに遅く、恐るべき脅威が人類に迫っていた。そしてその脅威こそがドクター・ストレンジと同じ姿をしたもう一人の自分だった。
シネマトゥデイより引用
ネタバレスレスレのチョイ褒めモード
注意:今回は核心に迫るネタバレは避けていますが、純粋に楽しみたい方には読まないことをお勧めします。
MCUのフリをして実はライミ味がぎっしりつまった作品でした。
たい焼きに例えるなら、MCUという皮に包まれたしっぽまでつまったライミ味たっぷりのアンコが入っているのが本作。
サム・ライミという監督はデビュー作 『死霊のはらわた』(1981) から、ホラーを極めたらギャグになった。を実現した監督であり、そのオンリーワンすぎる独特なドミノ倒し的画づくりとカット繋ぎで多くの映画ファン、特に我ら健康不良映画ファンな奴らの絶大なる支持を得たのだが、本人はそれに満足できなかったらしく『シンプル・プラン』(1998) で十八番を封印。ドラマも撮れる監督を目指したが、結局はトビー・マグワイア主演『スパイダーマン』(2002) からの肩慣らしをへて『スペル』(2009) で復活 (?) 。
今回は雇われ仕事なので、押さえてくるかと思いきや、アクセル踏みっぱなしの大暴走!(褒めてます)
さらに、ドミノ倒し的画づくり&カット繋ぎプラスの部分に、ホラーに必要なグロテスクなビジュアルを画としてもってきたから、まるで◯郎ラーメン並みのワシワシ感。
まさに、ゴージャス!ゴージャス!
あ、ひとつ言っとくけど本作はホラーアクションだけども切り株ゴアなカットはない。だから全年齢対象のG。
G! (何故か強調)
ただし、物語はわかりにくい。特に今回の敵役の設定は過去のMCU作品だけでなくディズニープラスで配信されたドラマ『ワンダ・ヴィジョン』も押さえておく必要があるらしい。
らしい。ってことは、そこんトコロは観ていないのよ自分は。
ようするに本作は……配信のドラマも含めて頭に入れておくとより楽しめる……らしい。
らしい。のだけども、実はドラマ自体はシンプル。縦軸にスカーレットウィッチと今回ストレンジに関わる少女アメリカチャベスの母と子供のドラマを縦軸に、そして、前作で破局となった元恋人クリスティーンに対するストレンジの未練を横軸に描いているだけなのだから。
壮大なはずのマルチバースなのにドラマのレンジは超狭いな。
なので、上述した配信ドラマを観たとしても、さして感動が深くなるとは思えない……気がする。
それ以前に物語の構成が弱い……気がする。
ようするにライミの暴走気味の演出がなければ、観客の感情をフックする決め手にかける出来になっていたかもしれない。
ほら、モービウス…みたいな。(唐突に感想)
ちなみに本作もユニバースのお約束として、いわゆるイースターエッグ的なお楽しみもあるのだが、それはあくまでもマーベルファン向けであって、薄いファン&いちげんさん等には単なるパラレルワールドチックな設定として受け入れてもらえる。少なくともこれ見て (知って) おけば、倍に楽しめるといったことはないだろう……。
今回、曖昧な物言いと三点リーダーが多いな!
別の側面から語れば、前作を撮ったスコット・デリクソンが、スケジュール上自分やりたい企画と本作とがバッティングしたために、いわば代打の形で今回のサム・ライミなのだが、これって、新人の助っ人に大先輩・超ベテランが助けにきてくれた熱い展開。
まるで、日本プロレスを追放されたアントニオ猪木が、新日本プロレスを旗揚げ戦をした際、ジャイアント馬場率いる全日本プロレスの圧力により外国人プロレスラー招聘に難航している中、出場を快諾してくれたカール・ゴッチみたいな話だ。
無理矢理いい話っぽくして終了。
劇場で鑑賞。