ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
前作の悲劇から4年。ある日、インジェン社の会長ハモンド(リチャード・アッテンボロー)に呼び出されたイアン(ジェフ・ゴールドブラム)は、ある秘密を明かされた。実は「サイトA」である「ジュラシック・パーク」に恐竜たちを供給する遺伝子工場の「サイトB」がイスナ・ソルナ島に置かれていたというのだ。閉鎖され、放置された島では人知れず恐竜たちが生き延びて繁殖しているという。ハモンドはマルカムに島の調査を依頼され、ビデオ・ドキュメンタリー作家のニック(ヴィンス・ヴォーン)、フィールド用装備の専門家エディ(リチャード・シフ)と共に現地に向かったが、イアンの娘ケリー(ヴァネッサ・リー・チェスター)もトレーラーに潜り込んでいた。島には既にイアンの恋人で古生物学者のサラ(ジュリアン・ムーア)が入っており、合流した5人は恐竜たちが闊歩する世界に夢中になる。だが、突如ヘリコプターの大部隊が島に飛来し、次々と車や機材を降ろし始めた。
映画.comより引用
映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!
今日のポエム
ライド!ライド!
今回はネタバレ無しの小難しい解説モード。
本作を語る前に、ただ今公開中の『ドント・ブリーズ2』について語ると、物語のプロットは変えずに設定を変えたおかげで前作のホラーから今回はバイオレンスアクションになっちゃった感じになった。
具体的には前作が、あの盲目の老人から「どうやって逃げるのか?」がメインだったのに対して、その続編は「盲目の老人が、どうやって襲いくる敵を倒すのか?」に変わっているのだ。まぁ戸惑う。
だからといって決してツマラナイわけではなく、知恵を使ったアクション映画では面白い部類に入るのは間違いないのだけれども、前作の味を引き継いでいるのかというと、どうも違う。
コカコーラだと思って飲んだら味がペプシだった。みたいな感覚。
それが、『ドント・ブリーズ2』。
面白い……のだけれども。
とりあえずサム・ライミとフェデ・アルバレスは続編を撮ったロド・サヤゲス監督に好きなようにやらせるオリジナル作品をプロデュースしてやれや!これは責任と義務や。
とまぁ、ほとほと続編は難しい。だから続編のベストな形は設定は変えずに前作よりも派手にするしか観客の満足度を上げる方法かない。
『ゴッドファーザーPARTⅡ』(1974)『スターウォーズエピソード5/帝国の逆襲』(1980)『エイリアン2』(1986)『ターミネーター2』(1991) などなど評価が高いのはそんな出来上がりになっている。物語やドラマはいじらない方がいいのだ。
さて、個人的なボヤキはここまでにして。それでは大ヒット作の続編である、本作『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』はどうしたかと言うと、上記の二つとは違うアプローチで描いてきた。
それは……
ライド!
ライド!!
とにかくライド、ライド、ライド!!!
そんな感じ。(雑!)
80年代頃にスピルバーグ作品 (プロデュースも含む) はジェットコースタームービーだと皮肉に批判されていたが、「なら、ほんまモンのジェットコースタームービーをやったるわい!」と言わんばかりのライド感。
それが本作。
でも、それって実は凄いことをやっている。なぜなら観客の感情を完璧にコントロールしているのだから。
これが、他の監督なら観客を退屈させずにしようとハッタリかケレン味のあるカットを插入しようとする。具体例として、大きな音とかアップとか爆発とかカットバックとかやたらカメラを動かしたりするウンヌンの何かだ。
ぶっちゃけ、マイケル・ベイとかレニー・ハーリンとかガイ・リッチー等が撮った作品!
だけど本作にはそんなところが無い。
つまりは「これ見よがしな」カットがここには無い。
もうチョット付け加えると、映画のワンシーンを見せられているのではなくて、目の前で起こっていることに自身が参加している感覚。
体感こそがライド感のキモだから、そこは分かってもらえるはず。
だからここには物語やドラマはない。
いわばカラッポ。
たけどもカラッポがゆえに体感に没頭できるつくりになっている。
物語はライドな乗り物に乗るために必要な理由づけだけのためにあると言ってもよいくらいにだ。だから物語(ドラマ)うんぬんで批判するのは、見当違いの大間違い。
逆に考えるとこうゆうワンシーンを観客に見せようと考えているのではなくて、目の前で行われている光景の一部を切り取って観ている感覚。
それは『ジュラシック・パーク』以降スピルバーグ作品に顕著に表れている感覚でもある。例えば、『宇宙戦争』(2005) でのかくれんぼ、『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』(2008) でのモグラたたきとかも体感型に近い。
そしてその感覚は前例がある。『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』(1984) がソレ。(画像はImdb)
ココでも物語やドラマなどは無視して、ひたすらにライド感を出していたけども、やはりどこかで「これ見よがしな」カットがあって作った感覚はどこかにあった。
『魔宮の伝説』はとっても面白いから文句はないけどな!
それが、本作で払拭されたのは昨今のデジタル技術とVFXがスピルバーグのセンスを再現できるようになったのが主な要因なのかもしれない。実はその感覚はすでに初期の作品『続・激突! カージャック』(1974) にも表れているから。(画像はImdb)
あの作品にもハッタリやケレン味なカットは無くても最後まで観続けることができる。意地の悪いギャグはそのまんまだけども。
つまりは70年代から見世物映画監督として世にあらわれたが、今までのSFXの技術的な限界がスピルバーグ本来のスタイルに制限をかけていてすべてが見えていなかったモノが、デジタル化でその枷が外れてソレが現れたと見るべきだろう。
だから、これも映画の理想形である音楽を聴くに近い。意味が分からなくても、それが心地よければいつまでも聴いていられるから。
第一、普通の人は歌を雰囲気だけでとらえて意味とか考えない。結婚式の余興ではしだのりひこ『花嫁』歌おうと盛り上がっていたオジサン等を懸命に歌詞の内容を教えて思い留まらせた高校生の自分の経験からもそれは分かる。
人は内容とか知らなくても感動できる生き物なのだよ。意外と!
はしだのりひこ『花嫁』はとりあえずグーグりましょう。
だから、本作のライドな楽しさにひたすら浸りなさい!
DVDで鑑賞。