ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
ストーリー
考古学者で冒険家のインディ・ジョーンズの前にヘレナという女性が現れ、インディが若き日に発見した伝説の秘宝「運命のダイヤル」の話を持ち掛ける。それは人類の歴史を変える力を持つとされる究極の秘宝であり、その「運命のダイヤル」を巡ってインディは、因縁の宿敵である元ナチスの科学者フォラーを相手に、全世界を股にかけた争奪戦を繰り広げることとなる。
スタッフ
監督ジェームズ・マンゴールド
製作キャスリーン・ケネディ フランク・マーシャル サイモン・エマニュエル
製作総指揮スティーブン・スピルバーグ ジョージ・ルーカス
脚本ジェズ・バターワース ジョン=ヘンリー・バターワース デビッド・コープ ジェームズ・マンゴールド
撮影フェドン・パパマイケル
美術アダム・ストックハウゼン
衣装ジョアンナ・ジョンストン
編集マイケル・マカスカー アンドリュー・バックランド ダーク・ウェスターベルト
音楽ジョン・ウィリアムズ2023年製作/154分/G/アメリカ
原題:Indiana Jones and the Dial映画.comより引用
今回はネタバレスレスレのしんみり解説モード
注意:今回は核心に迫る内容には触れてはいませんが、純粋に楽しみたい方には読まないことをお勧めいたします。
イヤー、マンくんの作品だったね。
もちろんマンくんとは本作を撮ったジェームス・マンゴールドのことです。
だからかもしれないが本作はシリーズの続きというよりも、番外編、またはインディを使った二次創作の趣きがある。まず原題が『Indiana Jones and Dial of Destiny』だ。インディ・ジョーンズの後にブランクではなくアンドがつくので、もうこれは今までとは違いますよと臭わせているし、また冒頭からのお約束だったパラマウントが無い。
当然のごとく今回のインディはパラマウントとではなくキャラクターコンテンツ産業の覇者となろうとしているディズニー作品だ。
あと、今回は敵役が溶けたり、萎んだり、爆発したり、鰐に喰われたり、ボロボロに崩れたり、目から光を放って蒸発したりするところが無い!死に際の淡白こと素っ気ないこと。
だから番外編。
まあ、これもスピルバーグことスピたんではなくマンくんが撮っているからだとしかいえない。マンくんもマンくんで一所懸命にスピたん風アクションを撮ろうとはしているのだけども、正直しっくりしていない。
というよりも、スピたんの演出をコピーするのは結構に大変。『ジュラシック・パーク3』(2001)でジョー・ジョンストンことジョくんがスピたんのアクション演出をコピーしていたが、これも上手くはなかった。ヤッパリあの演出術はスピたんしかできないのだろう。一種の間合いだもの。
演出はコピペができないのだ。
しかも、そのアクションをしているのが、御年80歳、撮影時78歳のハリソン・フォードなので、コーディネーターもアクションのリアリティラインをつけるのがチョイとどころかかなり大変だったのは容易に察することができる。何かもう、昔取った杵柄で身体は条件反射として動くが、体力はやはり老人なので、それについてゆかないというシークエンスの連続で草。
それにアクションというよりもリアルに別のハラハラドキドキが……
まるで『野球狂の詩』の岩田鉄五郎や晩年のジャイアント馬場のような……
わかる ↓ よく分かる!
だからVFX頼みになってしまっている。
それにマンくんは元々アクションはアクションでも大人のために撮ってきた監督さんだ。スピたんみたいにいい歳して子供がキャッキャするのは撮ってこなかったはずだ(色々と問題な発言)
とまぁ、アクションにかんしては及第点。でも、インディシーリズとしては、としてはう~~~~~~んだ。
だから、最初は「そこそこがんばってるな」な感情だったが、クライマックスから俺のターン!とばかりにマンくんの独断場。泣かしにかかってくる。
マンくん、職人監督としては数々の作品を撮ってきた者ではあるが、その真骨頂は、人生が上手くいっていなかった男が最後の刹那の瞬間にそれが報われる。姿を描くのがとても巧い。それが本作でもある。ちゃんとある!
それも二つも。
ひとつめは考古学者としてのインディ。このシリーズでの考古学とは、口先だけは「学術としての研究」を口にはするが、主人公に冒険をさせるための方便というべき設定になっていて、インディに神秘的な体験を通りすがり的に見せて終わらせるというのがお約束になっていたが、本作ではそれがオープニングからインディの人生に深くかかわっている。
そして、そのため本作には回想シーンもある。スピたんではなかったモノだ。
そして、クライマックスでは、通りすがり的神秘的な体験の先まで見せてくれる。
ここでまさかのヤングインディオマージュが⁉
あ、ヤングインディとは1992年にアメリカで放送されて、日本でもちょっとだけ放送されていた『インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険』のことで、インディが考古学者になる前の少年時代・青年時代の物語で、その見所はインディとその時代の歴史的人物との出会いになっております。
本作でもそれがあるのだ。
そして、大冒険をしてきたのにもかかわらず、研究者としても一個人としても寂しい晩年を送っている老人が最後に、ちょっとだけ報われる瞬間の美しさ。
何この、逆転満塁さよならホームラン的な感動。
今回は面白かった。というよりも自分の人生と重ね合わせているせいもあってか、ジーンとしちまった。
劇場で鑑賞。