えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

『ドリーム』において自分のような凡人はどう観るか問題について。そしてちょっとだけ愚痴

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略][誤字修正有]

 


映画『ドリーム』予告A

www.foxmovies-jp.com

 

 

とても良かった!ドリーム』の感想がコレ。アフリカ系アメリカ人女性の地位向上をテーマに描かれた内容も教条に陥らずユーモラス --しかし批判は辛辣-- で軽やかだ。明快な科学賛歌がアメリカならではのところもある。

 

それに宇宙開発史を裏から見る楽しみもある。『イミテーション・ゲーム』に連なる数学映画の側面もある、だってFORTRAN言語やオイラー法が出てくるんだから。とにかく感情移入の幅が広い。エンタメとしても理想的だ。

 

そして、この映画、原作を読んでいるとかなり脚色がされていて史実よりかといえば映画『ライトスタッフ』の裏話的な側面でのマーキュリー計画が強調されているのも個人的には嬉しい。

 

簡単にいうと、みんな観なさい!だ。

 

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『ドリーム』IBM予告より

それを支えるのは宗教や慣習とは別の価値観である科学(技術)なのだが、今回はそれについて自分がこの映画で感じたことを書いてみます。

 

 

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ここから先はネタバレになります。観ていない方にはおススメできません。

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『エイリアン コヴェナント』感想:そして、どうして私は目が点になったのか?

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略][誤字修正有]

 


映画『エイリアン:コヴェナント』予告D

www.foxmovies-jp.com

 

目が点!エイリアン  コヴェナント』の感想はこれにつきる。確かに見所らしいのはあるのだが、それが一部のファンにしか通用しなので、いわゆるブロックバスターを楽しみたい人には不向きな映画だ。これアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』と同じタイプだ。大衆向けというよりはインテリ向けだ。せめて『LOGAN ローガン』みたいにきれいにエンタメに落としこんでいればこんな感想も沸かないのだけれども……

 

これから、この映画について批判の方向で書くが、その際にヒントになったのが脚本で参加しているジョン・ローガンが演劇として書いた台本がレオポルドとローブの事件を題材にしていること。少なくともあのキスの意味がこれで分かる。

 

それと次の記事。人によってはグロテスクしか感じられないので。注意が必要。

stevenspielberg.hatenablog.com

 

この記事の内容と同監督作品『ハンニバル』を思い出してもらえば、この監督の「美」がどこを向いているのかが簡単に想像できる。なにしろ、このシリーズの最大の功績者であるH・R・ギーガーのデザインをスタジオに強く推したのはこの監督だから。

 

ここではそれを踏まえて自分がこの映画に感じた不満を書いてみたいと思います。

 

 

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『散歩する侵略者』はSF! コメディ! そしてやっぱり黒沢清監督作品!!

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略][加筆修正有]

 


映画『散歩する侵略者』予告編 【HD】2017年9月9日(土)公開 

sanpo-movie.jp 

 

熱心な黒沢清監督のファンではないので断言は避けるが『散歩する侵略者』の観易さは監督の作品歴でも上位に入るのでは?第一印象はそんな感じだ。

 

そして、映画では侵略者が人間に成りすまして日常に溶け込んでいるのだが、成りすまし侵略モノの魅力「静かに犯されてゆく日常」の魅力と『散歩する侵略者』はちょっと違う。 -- 確かに影の使い方などにドン・シーゲル監督『ボディ・スナッチャー/恐怖の』の影響があるけども、それは今や黒沢監督のスタイルといってもよいものだ。 -- 今作はどちらかといえばこの宇宙人は探査体(プロープ)に近い。または侵略のための偵察といったところか。早い話テレビドラマ『新スタートレック 』の敵役だったボーグだ。「個は全体。全体は個」を連想させる意味でだ。彼等は肉体の「概念」が無い。

 

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新スタートレック ファーストコンタクト』予告より

 

それが何となく分かるのは。冒頭の惨劇が、中盤で救出される恒松祐里が演じる立花あきらから聞かされるところだ。それが存在しないからこその興味であり、惨劇だ。

 

そして、イメージした概念を(結果として)盗む宇宙人のあるパターン演出から、この一見ユーモラスで最後がウエットなSF映画が実は監督がもつドス黒さもちゃんと表現している。やはりこれは黒沢清監督作品なのだ。

 

ここでは、そのパターン演出に着目して自分がこの映画に感じたドス黒さを書いてみたいと思います。

 

 

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『ダンケルク』のおかしさ。そして美しさ

ここでは題名と名称を恣意的を表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

傑作!と、もろ手をあげて賞賛できないのが『ダンケルク』のツライところ。いや、観終わったあとの満足度は確かに悪くない。しかし、どこか違和感がぬぐえない。群集劇という主人公がいないドラマなのは理解している。だから、誰かに感情移入して観るものではないことも分かっている。これに不満なのはどうかしているとは思うのだが、数時間考えての結論が「これはSFではない」という決着に。今までの監督の作品はどちらかといえば「日常と非日常のゆらぎ」を主に描いていたので気がつかなかったものが戦争という実在した題材を取り上げることでノーラン監督の本質が明確に浮かび上がってきたことへのとまどいというべきか。

 

これから、この映画について思ったことを書くが、その際にヒントにしたこの記事。

www.club-typhoon.com 

cinema.ne.jp 

 

ここから分かるのは映画は舞台だけではなく時間軸を浜辺のトミー(一週間)、海のドーソン(一日)、空のフェリア(一時間)の三つに分けたこと。そのために通常のドラマの感動とは違う感触が最後に湧き上がるので、自分と同じとまどいを感じた人もいるはずだ。

 

それは映画でトミーが「どこで用を足したか問題」にも繋がっている。 

 

そして同時に、どうしてフィルム撮影とIMAXの上映にこだわったノーラン監督の意図も見えてくる。

 

今回はこの映画の批判をひとつ書いたあとに、自分が感じたノーラン監督の本質を書いてみたいと思います。

 

 

ここから先はネタバレになります。観ていない方にはおススメできません。

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