ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
2013年にアメリカアリゾナ州におきたヤーネルヒルの山火事の実話に基づく映画化。アリゾナの森林消防隊を率いるエリック・マーシュは自身の隊を「火をもって火をコントロール」し沈下に導く農務省が権限を要するホットショット昇格を望んでいたある日、薬物中毒で自堕落な生活をしてたが娘を授かったことから。生まれ変わりたい思っていたブレンダン・マクドナウをマーシュは認め入隊希望を受け入れる。訓練は厳しかったがマクドナウはやがて仲間からも認めれマーシュの隊も地元自治体ではじめてのホットショットに昇格し仕事も激しさを増すなか最大の困難が彼等に立ち向かう。
火の不始末でない限り山火事の原因は化学反応による自然発火か落雷 -- この中でもさり気なく描写されていた。-- で起きて避けられない。そして、日本だと湿度70%以下になると乾燥注意報が発令されるのに対してここで描かれている湿度は一桁だ。だから森林消防隊の存在は居住者にとっても大切な存在になる。
そんな大切な存在をジョセフ・コジンスキー 監督はどのような描き方をしたかというと簡単にいえば「騎兵隊」だ。外敵から居留地と居住者を守る騎兵隊のようにここでは森林消防隊を描いている。もう少し詳しく書くと名匠ジョン・フォード監督の西部劇で描いた男達であり、具体的な作品でいうと『リオ・グランデの砦』などの通称『騎兵隊三部作』を指す。
フォード監督西部劇の男の特徴は簡単にいえば「腕っ節も強く、気も荒いが、性根は純で優しい」男だ。この『オンリー・ザ・ブレイブ』の隊員達も重い装備を担いで歩き汚い言葉をはくが、その内容は優しさが感じられるからだ。さらに彼等には「赤ちゃんに弱い」ところもある。火の真っ只中で煙草を噛むタフな余裕がありながらも泣き叫ぶ赤ちゃんにはどうして良いのかが分からずにオロオロする。などもフォード監督が描いた西部の男だし、また「気の強い」女もそれにある。ここではジェニファー・コネリー演じるアマンダがそれにあたる。
さらにさらに付け加えると、ジョシュ・ブローリン演じるマーシュは『黄色いリボン』でジョン・ウェインが演じたを思わせるところもある。マーシュが火災を見ているシーンなどでそれを思い出してもしまう。もちろん自分が勝手にそう思っているだけで、だから、その後の展開も道理で、つまり、『アパッチ砦』を思い出した訳だ。
例えアレを遮断できたとしても膨大な熱量に耐えられるはずもなく、運が良くても炭化するしか道はないので、あのシーンでは少しでも熱を抑えるためにドッパーンといくと予想していた - 中盤にある、あのドッパーンもてっきり前フリ(伏線)だと考えていた。-- ので、そうはならなかったので、ここでマーシュと自分の気持ちがシンクロして「うぁー!」の感情になってしまった。そして、それにエンドロールも加わると……。
付け加えると、マーシュが見ていたあのイメージは黒澤明監督『デルス・ウザーラ』の虎からなのだろうが、黒澤監督がフォードを尊敬する映画監督の一人として挙げていることから、それも当然だと感じる。
今回はそうとうに支離滅裂だが、簡単にまとめると衝撃よりキャスリン・ビグロー監督『デトロイト』の次に気持ちが滅入ってしまったのがこの映画だ。ツライ。