えいざつき ~映画ポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。映画、SFが多めです。そして妄想が暴走してポエムになります。

帰れない二人

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

今日のポエム

燃え尽きた女と燃え滓だけの男。

 

 

映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!

 

そして、今回は 

帰れない二人

そして、今回のキーワードは。

 

見やすいな!

 

今回はネタバレはスレスレかな?

 

ジャ・ジャンクー監督の最新作『帰れない二人』は表向きには2001年から2019年までの18年におよぶ女と男の愛の物語でありドラマなのだが、背景にあるのが2008年の北京オリンピックと2010年の上海国際博覧会のを経ての内陸部西部地区を経済成長へと乗せる国家プロジェクト、西部大開発なので、その本当のドラマは辺境の近代化で変わってゆく風景と人々の機微を描いてゆく。だ。

 

ちょっと変わっているのは中国の裏社会、日本でいうところのヤクザの視点から描いているところだ。-- 検閲がよく通ったなとは思ったが、舞台が辺境なので了承されたのだろうか?

 

なので、序盤に描かれるのは義侠心になる。最初に盛大に流れるのは中華の英雄である義侠心の男黄飛鴻ウォン・フェイホン)の活躍を描いた映画ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』のテーマ曲だ。

 


Once Upon A Time In China - Theme

 

そして義侠心の象徴として三国志で名が知られている武将であり、現在では神格化されて商売の神様に祭り上げられている関羽を持ち出したりして、義侠心を強調するし、主役の一人であるリャオ・ファン演じるビンも最初は義侠の人として描かれている。それが、時代の流れの変化でビンが転落してゆく過程が紡がれてゆく。

 

これと彼の恋人であったチャオ・タオ演じるチャオとの18年近くの関係を描いでいるのが物語であり、ジャンクー監督が追い求めているモチーフでもある「自国の近代化によって変わってゆく風景と人の心」をすんなりと見せるためのストーリーテリングとして機能しているのだが、個人的な雰囲気として感じたのは北野武監督に近いというところか。何しろジャンクー監督作品としては今まで(多分)よりもユーモアが多めなのだが、それが北野作品調なのだ。例えば80年代のヒット曲『CHA-CHA-CHA』のメロディが、「そこで使うのか!」と……

 


CHA-CHA-CHA

 

あと、ビンに捨てられたチャオが逞しくなってゆく過程も北野調なのだ。

 

そして、チャオが捨てられた悲しみから這い上がろうとする描写に、日本なら「逆巻く海(日本海)に女がひとり」みたいな演歌調みたいな雰囲気の画をつくるはずなのだが、今作ではそれをこれでやるか!とツッコミを入れたくなるようなアレが登場する。今作最大のケレン味だ。

 

そんなところでジャンクー監督作品をこれを入れて三作しか知らない自分の判断から無謀に言ってみれば、一番に見やすい出来上がりになっている。もちろん、繰り返しになるが、ドラマは女と男の愛ではなく、「辺境の近代化で変わってゆく風景と人々の機微」なので、一見蛇足と思われる、その後も当然として描かれる。近代化の次にくる国家による監視社会の構築だ。-- ヒント:ラストシーン。

 

さて、最後にアレをどう解釈していいのか?自分は、燃え尽きてピュアなものしか残っていないチャオと燃え尽き損ねて滓が残ったビンのすれ違いを描いた。と考えている。多分こいつら、いつかまた……ようするに腐れ縁なのだ。

 

VODで鑑賞

 


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