ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
世界的人気ロックバンド「クイーン」のボーカルで、1991年に45歳の若さでこの世を去ったフレディ・マーキュリーを中心に結成から1985年のライヴエイドまでを描いた伝記映画。ペルシャ系インド人である。ファルーク・バルサラこと後のフレディはアートカレッジを卒業後、ボーカルが抜けたバンドに自分を売りむ。それがブライアン・メイとロジャー・テイラーであり、後のクイーン。彼らは斬新なアイディアでヒットをとばし、頂点に立つが、フレディ自身に徐々に変化が起こり始める。
最初に断っておくと自分はクイーンの曲をいくつか知っているだけだし、身銭を切って買ったのは『フラッシュ・ゴードン』と『カインド・オブ・マジック』だけであり、フレディ・マーキュリーについてはゲイでありエイズで亡くなったくらいの知識しかない。そして自分にとってフレディですぐに思い出すのはマンガ『魁!!クロマティ高校』のキャラクターだ。その程度だ。
そんな自分がこの映画でグッときたのはエイズを宣告されたフレディに掛かる曲がクイーンが主題歌を歌ったラッセル・マルケイ監督『ハイランダー 悪魔の戦士』での挿入曲 " Who Wants to Live Forever " のところだ。『ハイランダー』では不老不死の主人公の男が変わらない姿に対して老いてゆく妻のシーン、つまり妻の感情を曲で表したソレに、この映画でのフレディの心境「生きたい」が重なってしまったからだ。
個人的な感情を書いたのは、この映画の魅力でありポイントは「思い出」だと考えているからだ。映画でクイーンの曲が流れるたびにその曲と一緒に重なっている「思い出」も無意識に想起されるからだ。
それはクイーンの直に曲を聴いたことがない人でも同じだ。CMソングやアニメソングやパロディソングなどで聴いたことがあるだろうし、クイーンに影響を受けているアーティストもいる。もちろん、それは本筋ではなく微細なものだろうが、要はそこを激しく揺さぶればよい。そうすれば直に聴いている者と感情が共有されるのだから。
そして、その感情は否定できない。何しろ「思い出」なのだから。
だから、この映画の目的はクライマックスのライヴエイドまで観客の一体感をセットすれば良いのであり、そしてそれは見事に成功している。その題材を裏切らなけば、そうなるに決まっているのだから。だから沸き上がったクライマックスの感動は当然だ。
正直、内容は定番どおりの展開でもある。それでも感情移入するのは人物やドラマではなく、『ボヘミヤン・ラプソディ』の曲でありクイーンの曲だからだろう。これはみんなに愛される映画だ。
でも本音をちょっとだけ言えば、「ズルい」よなぁ。
Bohemian Rhapsody | Official Trailer [HD] | 20th Century FOX
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