ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
明けましておめでとうございます!
ユーセ コーイチです。
今年も当ブログをよろしくお願いします。
いきなりですが、1979年から84年あたりの日本公開の映画には作品の売り込みのために大衆心理のキャッチーさを求めるために映画からの楽曲・歌曲ではなく、それを制作・配給会社が独自で作成して宣伝に使ったり、映画本編で使ったりするソング(歌曲)というものがいくつかありました。それらは映画の宣伝のために作られた物でもちろん本編(本国)では使われてはいません。ここではそれを仮に映画歌と命名します。
注釈:今回の公開年は本国ではなく、日本公開に統一しています。
映画の宣伝のために作られた映画歌はいくつもあります。例えば、あの『風の谷のナウシカ』(1984)を女優(当時はアイドル)の安田成美も映画歌っていました。これも本編にはかからない宣伝のためのイメージソングです。
ちなみに安田成美はナウシカのアニメ化にあたってイメージガールのコンテストで選ばれたのが芸能界デビューなのは誰もが知っている話です。
そんな映画の宣伝のためだけに存在する歌がある事を自分が知ったのは1989年『機動警察パトレイバー the Movi』の「約束の土地へ」からでした。
この歌を歌っているのは当時の人気声優である笠原弘子。実は彼女はこのアニメのメインキャラの声には一切かかわってはいません。調べたらこの歌は当時前売券の特典としてついていて、つまりはアニメファンための宣伝なのです。この歌をTVCMで聞いていた当時の自分は本編を観てこの曲がかかっていなかった事に首を傾げた思い出があります。
こうした宣伝手法が登場したのは1978年公開『ナイル殺人事件』からでした。-- 余談ですが、同時上映は『ルパン三世 ルパンVS複製人間』-- 楽曲はあの映画音楽の巨匠ニーノ・ロータなのですが、そのエンドクレジットに流れたのは日本の配給会社、東宝東和が独自に作った映画歌「ミステリー・ナイル」でした。
この曲は当時テレビCMなどでバンバンと流れて、『ナイル殺人事件』の壮大でミステリアスな売りこみに一役買ったらしく映画は大ヒット。そのために以後、東宝東和ではその路線で映画の宣伝にイメージソングこと映画歌を日本独自の手法として使ったそうです。例えば、1979年日本公開の楽曲がジョルジュ・ドリリューの『リトルロマンス』にも彼が作曲していない「サンセットキス」が作られて宣伝に使われています。
また、007シリーズでお馴染みのジョン・バリー楽曲の『レイズ・ザ・タイタニック』(1980)にも映画歌も作られました。
これらの二作の映画歌は本当に宣伝のために使われただけで、『ナイル殺人事件』のようにエンドクレジットでは流れなかったそうです。
また、映画歌と言っては語弊があるかもしれませんが、「ハッ!ハッ!ハッ!」と声が入っているので『少林寺』(1982)もそれになるでしょう。これも本編にはありません。
ちなみにまた余談ですが、『ナイル殺人事件』以降、クリスティのミステリーだと『地中海殺人事件』(1982)と『クリスタル殺人事件』(1981)でオリジナルの映画歌がエンドクレジットで流れたそうです。
Mystery Shadow from Mirror Cracked
また、また、また、1982年の『ザ・カンニング[IQ=0]』は公開当時、主題歌(映画歌)だけではなく、楽曲そのものを変えて公開したそうです。
【高音質】ザ・カンニング「IQ=0」 Les Sous-doués 「REMEMBERING SCHOOL DAYS」by KATHARINE
やがて、この手法も大衆に飽きられたのかは判りませんが、このやり方で東宝東和は宣伝をしなくなるのですが、同じ時期にそこに割り込んだのは、あのワーナーです。ワーナーは1979年の『マッドマックス』でエンドクレジットでブライアン・メイ楽曲の代わりに独自のテーマソングを当ててヒット。このエピソードは映画ファンなら誰でも知っているので今回は割愛させてもらって、ワーナーは、この路線はイケると踏んだのか、歌手・タレントの川崎龍介(当時の命名は川崎麻世)でやるという事をやってしまい当時の映画ファンから顰蹙と永遠に拭えないトラウマを植え付けたそうです。あの時にネットがあれば炎上間違いなしの案件だったのでしょう。
それでは最後に、その川崎龍介の歌がエンドにある1979公開『ビッグ・ウェンズデー』でかかったとされているこの曲で、貴方の知らない、かつて存在した映画歌の世界を締めたいと思います。
参考:
『ビッグ・ウェンズデー』サーフィン映画の原点にして金字塔。そして衝撃の日本語主題歌 :3ページ目|CINEMORE(シネモア)