えいざつき ~映画ポエマーの戯言~

映画批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

『洗骨』のネタバレスレスレの雑感

お題「最近見た映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

漫才コンビ ガレッジセールのゴリこと照屋年之が自身の短編映画『born、bone、墓音。』を長編映画化。沖縄・粟国島に新城家の長女の優子が名古屋から帰ってくる。4年前に母・恵美子の死で腑抜けになって実家にひとりで暮らす父の信綱は優子が妊娠しているのに驚く。やがて東京から長男・剛も帰ってきて優子を責めギクシャクしたが、島に伝わる風習である亡くなった人の骨を洗う「洗骨」の儀式が近づくにつれて、バラバラになったかにも思えた新城家の人びとは、まとまりはじめていた。

 

ブログに書くはずだった劇場新作をなんとか一作だけ観るが、途中で寝落ちしてしまい感想なんか書けなくなりました。そんなこんなで書きそびれて溜まりに溜まっている未公開記事から、チョットだけ書き直しをして公開します。

 

まず、最初に断っておくと自分は照屋年之の過去作を見たことがないし、それどころかガレッジセールのコントすら知らない。ましてやドラマどころか主演映画『沖縄を変えた男』すらもちゃんと観ていない体たらくだ。だから今回は完全に当てずっぽうだ。

 

 今作には、ある鮮烈なショットがあって、そこから帰納法のアプローチでドラマと物語を作っているところがある。だから、脚本・監督の照屋年之はそのショットにたどり着くまでに周到に布石(伏線)を置いて、クラマックスまでもってゆく。印象だけで云えばそうなる。裏を返せば、あのショットがなければ、並の面白さしかない。

 

実は題名と裏腹にこの映画はコメディだ。オープニングからの「おねだりギャグ」で、それは分かるし、シリアスになろうとしたらすかさず笑いを入れて物語を沈滞させないようにとしているところがあって逆に作為が感じられてしまうところもあるが、いわゆるテレビドラマ映画に比べれば真っ当な進め方だ。

 

描かれるのは仏教と琉球神道の融合だ。太陽を最高神として崇め、だから太陽が昇る東を神に領域(聖域)とし、太陽が沈む西は死者の領域として考える。今作でも西を「あの世」と言って崖や洞窟で死者の風葬をしたのところが琉球神道だし、洗骨をするのはこの世の穢れを落として仏になるので仏教だ。

 

それを行う前のクライマックスまで壊れた新城家の絆 -- 例えば一人二人かつ息の合った者どおしでしかできない追込網(おいこみあみ)を一族で行う場面とか -- を修復させて、そうすることで「死と生」が切れているのではなく繋がっているモノだという事を否応なしに認めさせて観客を感動させる。

 

殊勲賞は大島蓉子鈴木Q太郎だ。大島はオバちゃんキャラで単調になりがちなところに緩急を与える役どころになっているし、鈴木は部外者設定なので洗骨という風習を観客に分からせるために良い案内人になっている。

 

すべては、あのショットへと導くための計算で、それが見事に決まっているのが、この映画だ。良かった!

 


『洗骨』予告編

 

 

  

童神(天の子守唄)

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