えいざつき ~映画ポエマーの戯言~

映画批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

アムステルダム

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

 

www.imdb.com

 

1930年代のアメリカ・ニューヨーク。医師のバート(クリスチャン・ベール)と弁護士のハロルド(ジョン・デヴィッド・ワシントン)、アーティストのヴァレリーマーゴット・ロビー)は第1次世界大戦の戦地で出会い、終戦後にアムステルダムで友情を確かめ合っていた。ところが、バートとハロルドが殺人事件の容疑者となってしまい、3人は無実を証明するため、ある作戦を企てる。

シネマトゥデイより引用

 

今回はネタバレガッツポーズありの解説モード

 

粋で素敵な作品でした。

 

だけど、展開がフラフラ。面白いわけではない。

 

「何それ?矛盾してない」。なツッコミが聞こえてきそうだが、正直、自分にとって物語とは、その作品の鑑賞中に観客を感情の迷子にさせない措置であり、さらに、物語とは作品内のディテールを乗せる器にすぎない。を主張する自分に本作はとても心地よかったのよ。

 

そして、観客が本作をピンぼけと感じるか、批評家受けしなかったのかも、そこにかかっている。

 

まぁ、このタイトルだけで何のドラマか分かっちゃうんだからさー!(いきなり転調)

 

何者のも抑圧されない自由な生き方をやってるからさー。つまりファック不自由!(何語?)

 

大体、オランダのアムステルダムといえば現在では「世界で一番リベラル(自由)な都市」と呼ばれているんんだから。この物語だと、すぐに察しはつく。

 

でも、本作はそこにストレートなメッセージは込めてこない。逆に変に入り下っているところがある。だって監督はデビッド・O・ラッセルだもん。

 

ラッセルと言えば、典型的なストーリーテリングをしない作り手でもあるので物語の展開にはクセがあるのは当然。

 

-- それに付け加えると、彼の父はロシア系ユダヤ人なので、それはそのまま本作のクリスチャン・ベール演じるバート・ベレンセンの設定に被ってくる。

 

当時は新興政治結社であったナチス反ユダヤ主義をと信仰を同じくするアメリカの大企業家等との繋がりや実在したスメドレー・バトラー少将をモデルにデニーロ演じるギル・ディレンベックが彼を時の大統領ルーズベルトの代わりに大統領にしようとする陰謀が暴かれて、それに主役三人が巻き込まれてゆく流れ。

 

には、なっているのだけれども。ここでの「ほぼ実話」という部分に触れると、アメリカの企業家達がそんな陰謀を実行した証拠はない。先に書いたのバトラーの証言くらいしかない。もちろん状況証拠なら犯人だが、書類などの物的証拠は存在していない。だから「ほぼ」。

 

くどくなるけど、フォードが反ユダヤ主義で、ナチスに加担していたりデュポンやGMやスタンダードオイルがナチスと密かに提携をしていたのは有名な事実として記憶されているが確たる何かがある訳ではない。

 

でも、それは現代でも同じ。例えば、先頃twitterを買収したアメリカの実業家・投資家が、過激な発言とレイシズムを煽る前アメリカ大統領であるドナルド・トランプを支持しているのではないのか?という疑いと彼がレイシストではないのか?という疑い。そして、そんな彼とかなり多くの支持者が存在する事実。

 

現実の社会も自由というよりも右傾化しているし、つまり不自由なご時世。

 

ようするにこの世はクソッタレだという現実。

 

でも、そんなクソッタレな世の中で、宝石のごとくに輝くのはバート、ハロルド、ヴァレリー等三人の関係なのは一目瞭然。

 

つまり、アムステルダムとは3人の関係性を印象づけるための言葉なのだ。

 

これって実は実存主義の考え方そのもの。三人の「正しい神」とはまさしくコレ。

 

まぁ、このブログでやった『ソー:ラブ&サンダー』(2022) とやっていたのと同じ。

 

eizatuki.hatenablog.com

 

でも『ソー:ラブ』と違って本作はそうゆう説明はゼンゼーンしない。代わりに三人に「アムステルダム」とつぶやきさせるだけ。粋だわ。

 

これは自分のあて推量ではない根拠はラッセルはかつて環境問題を扱った哲学コメディ『ハッカビーズ』(2002) を撮っていて本作はその雰囲気に近いから。

 

 

これから哲学な部分を抜いたのが本作よ。

 

だから『ハッカビーズ』が好きなら本作も好きだし、苦手ならもう✖。

 

でも『ハッカビーズ』と違うのは本作では人種差別を扱っているから。

 

だからポリティカルサスペンススリラーかポリティカルコメディの目線で観てしまうと本作はピンボケになるしかない。

 

じゃあ、どうゆうピントにすればいいのよ?と聞かれたら、スター達の繰り広げるアホアホ演技からの雰囲気を楽しめ。あの三人を愛でろ!

 

アムステルダム(映画.comより)

メッセージなんかで感動するんじゃねぇ!それは感心で感動なんかじゃねえや。(何語そのニ)

 

でもまぁ、人物の関係性だけでドラマを動かしているラッセルらしい。

 

-- だけど一般人がその手の物語を見る時、環境問題とか人種差別とかは、どこかで神の視点という他人事の視点としてとらえたいところがある。だってそうじゃないとツライ。とてもツライから。だから逆説的にメッセージを強調することで、観客に安心感を与えているところもあるのを理解してね。

 

だから、我々観客は三人の貴さをただ愛でればいい。それだけでいいのさ。

 

-- まぁ、唯我独尊なんて批判もできるけどね。

 

劇場で鑑賞。

 

 

 

 

 

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