えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

狩人の夜

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

今日のポエム

女は弱し、されど母は強し。

 

 

映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!

 

そして、今回は 

狩人の夜

そして、今回のキーワードは。

 

三つの魅力について!

 

今回はネタバレはなし。

 

 俳優のチャールズ・ロートンが監督した『狩人の夜』は1955年に発表された作品で、内容は1930年の大恐慌の時代に犯罪で死んだ父が息子娘のジョンとパールに残した大金を手に入れるために偽伝道師が迫って来るスリラーで、今ではカルト映画としてファンからは認められている。ここでのカルト映画とは単純に「深く熱烈なファンをもつ」という意味で、そうゆう意味では今作はカルト映画中のカルト映画だ。なにせ半世紀以上経ってもファンがいてまだ増え続けているからだ。

 

そんなカルト映画中のカルト映画の魅力は大雑把に分けて三つ。まず一つ目は俳優ロバート・ミッチャム演じる偽伝道師パウエルなのは当然だ。殺人鬼なのに自分は聖職者だと思い込み。女たらしなのにセックスが嫌い。などのカオスなキャラクターは今なお充分に魅力的であるし、両指に刻まれた「LOVE」と「HATE」はそれ以後、様々なキャラクターに影響を与えた事はこの作品を観た人なら知っている。(画像はimdb

 

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ちなみに、その辺りで誰も指摘していない作品を上げると、テレビアニメ『勇者王ガオガイガー』での必殺技「ヘルアンドヘブン」の元もここからだ。

 


スパロボT ガオガイガー ヘルアンドヘブン

 

唐突な発言にアニメファンアンド映画ファンからは「お前は、いきなり何を言っているのか?」だろうが、いいのだここは自分のテリトリーだ!

 

二つ目は、画づくりとしてのルックの良さだ。コアなファンがカラー以前の映画を白黒と言わずモノクロ、またはモノクローム、と言いたがる理由は、これを観れば分かる!と、言いたくなるくらいモノクロームを堪能できる。白と黒との間には濃淡の段階を示す階調というのがあって、それが、この作品ではフルに愉しめる趣向にもなっているからだ。(画像はimdb

 

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狩人の夜

そして、数々の名シーンとそれを撮影したカメラマン達の業績を綴った1992年のドキュメンタリー映画ビジョンズ・オブ・ライト 光の魔術師たち』のオープニングにも登場しているそんな名の残る作品を撮影したスタンリー・コルテスは多分、『市民ケーン』を撮影した同時代の名カメラマン、グレッグ・トーランドと同じくらいの作品歴を持っていると調べてみたら、観ているのは今作とその前に担当した1942年『偉大なるアンバーソン家の人々』ぐらいで、観ていないが名だけなら1947年『扉の陰の秘密』と1964年『裸のキッス』と1959年『巨大アメーバの惑星』だけ。ちなみに『巨大アメーバの惑星』とはこんな感じ。

 


The Angry Red Planet (1959) - Official Trailer (HD)

 

つまり映画界の本流より傍流を渡り歩いてきた人なのだ。そんなコルテスが「(撮影に対して)ライト(光)を理解していた監督はウェルズとロートンの二人だけ」のimdbトリビアを読んでしまうと妙に物悲しくなる。

 

三つ目は、後半に殺人鬼パウエルと対峙するクーパーだ。(画像はimdb

 

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狩人の夜

この、いかにも目からビームが飛び出しそうなおばちゃんは、映画の父といわれていた映画監督D・W・グリフィスのミューズだった女優リリアン・ギッシュだ。

 

そこでギッシュが演じた、このクーパーというキャラクターは子供からお年寄りまで「女性」をメロメロにさせるパウエルの女たらしフェロモンを唯一拒絶できる人物で、そしてまた自分の家で他人の子供たちを家族のように育てる人物で、つまり今作に登場する唯一の「母親」なのだ。だからパウエルの女たらしフェロモン攻撃を拒絶できる。

 

そんなクーパーも、どうやらかつては「女性」だったらしいのは、彼女にも息子がいて現在は疎遠になっている状況から、どうやら息子に棄てられたために心を入れ替えて「女性」から「母親」へと変わったらしいのが分ってくる。

 

そんな殺人鬼VS母親の戦いが今作のクライマックスで、特に歌合戦は必見!

 

そして、ジョンが純粋に子供らしく戻って終わるのだ。何故ならばこの映画は冒頭で父が彼に大金の隠し場所を教えないという誓いをしてしまったがために、子供の純粋さを失ってしまっていたからだ。

 

だから、このドラマのミソはジョン(とパール)という子供が「本当の家族」にめぐり合う展開になっているのだ。

 

もうひとつ、付け加えるなら楽曲を担当したウォルター・シューマンについても語るべきなのだろうが、今回は割愛する。

 

でも、こうしてみると、宗教の視点も含めてガチガチ保守思考の作品でもある。現在リメイクの企画が上がっているそうだが、この雰囲気に迫るものができるかどうか?

 

Blu-ray discで鑑賞

 


The Night of the Hunter Official Trailer #1 - Robert Mitchum Movie (1955) HD

 

 

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