ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
今日のポエム
戦わなければ死。
映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!
そして今回のキーワードは
テロリズム映画!
今回はネタバレスレスレかな?
本作は、突如として地球を侵略した異星人に対する戦いを描いた作品である。それは公式で『アルジェの戦い』(1966)や『影の軍隊』(1969)をお手本にしたと言っているので間違いないし、それに『影の軍隊』でのリノ・ヴァンチェラを連想させる人物が登場するので判りやすい。しかも、『アルジェの戦い』と同じアルジェリア戦争を題材にした映画『ジャッカルの日』(1973)のあるシーンと同じシーンがあるし、そこにいたマイケル・ロンズデールと印象が被るからでもある。(画像はIMDb)
しかし、本作のドラマは異星人と直接的に戦う事ではなくて、異星人の傀儡となってしまった国家と委縮している国民を煽動する抵抗側の活動を描いている。
すなわち、テロリズムの論理を描いている。
レジスタンスと言い繕ってはいるが、どうみてもこれはテロだ。
「マッチをすって、戦争を起こせ」はテロの目的そのものだからだ。
なので、本作はこ前述した作品の融合といっても良いべき作品なのだが、決論から言ってしまうと、野心的なアプローチなのは分るが、かたや『影の軍隊』を撮ったジャン=ピエール・メルヴィルが醸し出すノワール感と『アルジェの戦い』のヒロイズム&ロマチシズムを廃したリアリズム演出が上手く融合していない感がある。寓話として使うなら決して悪くはないのだが……
このアプローチは異星人とは合いにくいのかな?
それに、その手の作品なら既にジョン・カーペンターの『ゼイリブ』(1988)という先達があるし、それが寓話としては成功しているので、どうしてもそれと比べてしまから分が悪い。(画像はIMDb)
しかし、どうして、この手の物語が今に出来上がったのかはわかる気がする。『ゼイリブ』は2003年のイラク戦争前の作品だが、本作はイラク戦争後の作品だからだ。それはイラク戦争で思い出される、あの画像を連想させるところがあるからだ。
それに加えて、監督のルパード・ワイアットがイギリス出身であることも影響を与えているのかもしれない。つまり北アイルランド問題を発端とした紛争のことだ。
1937年に英国からアイルランドが独立。英国に残った北アイルランドでは、英国の統治を望むプロテスタント系住民と、アイルランドとの統一を求めるカトリック系住民が対立した。60年代後半に始まったテロなどで、3千人を超える犠牲者が出た。98年に包括和平合意が成立した。
(2019-10-18 朝日新聞 朝刊 1外報)
多感な時期をそこで過ごしたワイアット監督が北アイルランド問題を意識しないはずはないからだ。
だから、本作が娯楽を通しての思考実験の様な趣になっているのも分かる。だから一見、地味にみえてしまうのはしょうがない。
しかし、今のところ映画でアメリカを占領したのはソ連(現ロシア)と北朝鮮と宇宙人しかいないので、仕方がないところがあるが、アメリカを舞台にリアルなテロリズムとしてのドラマを架空である敵として描く場合、リアリティの積み上げよりも、どうやってそれを観客に納得させるか苦心した方がよい。これでは、娯楽作なはずなのに間口が狭い感じがするからだ。そして、この手の題材を好んで観るのは自分のような物好きくらいしかいないからだ。
ガジェットは結構好みです。
あと、ウニは許す!
VODで鑑賞。
Captive State Trailer #1 (2019) | Movieclips Trailers