ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
今日のポエム
「見えすぎる」とは映画なのか?
映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!
そして、今回は
『ダークナイト』
キーワードは。
ノーラン作品は映画なの⁈
今回はネタバレスレスレ、って白々しいなあ。
今作が名作であるのは異論がないし、少なくともアメリカ映画の代表作の一本であるのも異論はない。9.11(アメリカ同時多発テロ事件)を意識した物語、本物を破壊して撮ったスペクタクル。敵役ジョーカーを演じた夭折した俳優ヒース・レジャーの鬼気迫る演技など見所も多い。もはや伝説といってもよい。
そんな『ダークナイト IMAX』を自分が観た理由は目的にしていたジブリ映画が満席だったためと、代わりにチョイスしたのは少しだけながれる新作『TENET』をこの際に観ておこうとのスケベ心しかない。
ノーラン作品の特徴に関しては自分もすでに『ダンケルク』で語ったように、そのドラマ作りは通常の伏線・布石を並べてクライマックスで感動へと導くやり方ではなくてシーン、シーンを一枚のフレームに見立ててて、そのフレームのピースがクライマックスですべて揃ったときに表れるパノラマ絵画を見た感動に近い。だから、ノーランはIMAXにこだわるし、CGに頼らずになるべく本物のビルや飛行機を爆破しようとする写実手法にこだわる。その中に一つでも違和感があるのが入ったらパノラマの感動が損なわれるから。これがノーラン作品の本質だと自分は考えている。
でも、それは「見世物」の感動であってフィクションの感動ではないのは確かだ。
フィクションの感動とは「見えている」部分と「見えていない」せめぎ合いだ。映画なら作り手たちはカメラワークとか緩急とか省略とかその他色々なことを使って、あえて「見せなく」する工夫をする。それをすることで本当に伝えたいもの、魅せたいものが伝わるからだ。
しかし、ノーランは「見せない」という工夫をしない。逆にドンドンと「見せようと」するところがある。
「見せなく」する工夫は作り手の教養と美意識を必要とする。ノーラン作品にはそれが感じられない。もっとズバリいえば教養も美意識もない。『インセプション』のラストなんて締めをつくるだけで撮っただけに決まっている。-- もっともこの部分はノーランだけでなく他の監督作にも言える話だ。
そうゆう意味ではノーランはクリエイターというよりもエンタテーナーに近い。
そんなノーランに教養らしきモノがあるとしたら、それはアメリカとイギリスの両方の国籍をもち、だから彼が子供の頃に観たであろう50年代から80年代にイギリスで放送されていたテレビの面白さを今風に直して提供しているところか。新作『TENET』に例えるなら1961年のテレビドラマ『おしゃれ㊙探偵(THE AVENGERS)』や1968年の同じくテレビドラマ『ジョー90』の雰囲気を今風に仕立て直しているだけなのだ。
THE AVENGERS (1961) - Official Trailer - All Six Series Remastered
Joe 90 1968 - 1969 Opening and Closing Theme (With Snippets) HD DTS
そして、ノーランが007を撮りたがっているエピソードはファンなら誰もが知っているし、今作『ダークナイト』も007の影響が感じられるのはよくわかる。
だから彼の本質はオタクだ。ただしイギリス側のオタクだ!
と、まあ今回のIMAX版を見直して、というよりも『TENET』を観てそれを再確認しましたとさ。
最後に自分の『ダンケルク』感想らしきものを貼って終わります。
劇場で鑑賞
映画『ダークナイト』特別予告 2020年7月10日(金)IMAX® /4Dにて緊急公開
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