ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
今日のポエム
難しく考えるな!深みにはまるぞ。
映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!
そして、今回は
『危険なメソッド』
そして、キーワードは。
私的クローネンバーグ論!
今回もネタバレはなし。
デビッド・クローネンバーグの作品は苦手だ。それはドラマを探そうとすると深みにはまるからだ。初期の『ヴィデオドローム』の頃からそれはあったのだが、『戦慄の絆』から、それがドンドンと濃くなってゆき、今では積極的には観ないタイプの作品群にもなっている。
とはいっても、クローネンバーグ作品は表面上はスラスラと観れる。その彼の演出手腕の高さは、職人に徹した『デッドゾーン』でハッキリと分かる。文章ならともかく画にすると派手な見せ場が無い内容を最後まで魅せ切った手腕は確かにある。(画像はimdb)
なので、表向きはクローネンバーグ作品には難解なフシなど無い。それは、他の思わせぶりな演出をする作品に比べれば良心&親切でもある。
ただ、そこからドラマを読み解こうとするとたちまち迷宮にはまるのだ。つまり、「作品の核心」を探す&予想するのが極めて困難なのであり、むしろ、「この困難を愉しめ」と映画から囁かれているのではないかと思われるくらいになるのだ……。
その困難な作品群から、あえて特徴らしき何かを見出だすとすれば、それはモチーフになっている対象をいつもグロテスクとして描いているらしいくらいしかない。『ヒストリー・オブ・バイオレンス』ならマチズムを『コズモポリス』なら金融を『マップ・トゥ・ザ・スターズ』ならハリウッドをだ。
だから初期にあったグロテスクを画で派手に魅せた演出は今では影を潜め、台詞と役者の演技を使ってグロテスクに描いている気がする。セックスシーンを官能的よりも即物的に撮っているところからもそれは察せられる。しかし、自分がそう感じているだけで確証はない。
よって自分はクローネンバーグ作品に対しては積極な態度はとっていない。「観れたら観る」くらいのスタンスだ。そして『イースタン・プロミス』と今作は初見のときに寝落ちをしたので再鑑賞といった気分だったが、感想を言ってしまうと、「やっぱりグロテスク」だ。
もちろん、そのグロテスクさは主な登場人物が高名な精神分析学者なために、そのモチーフも精神分析学をそうやって描いている。それをマイケル・ファスベンダー、ヴィゴ・モーテンセン、キーラ・ナイトレイを中心とした物語で、そしてヴァンサン・カッセルが少しだけ絡む。といった体だ。この演技を観ているだけでけっこう楽しめる。
でも、やっぱりドラマを求めると、何なのかが分からない。
そんな、モヤっとした感想なのでした。
VODで鑑賞
A Dangerous Method Official Trailer (2011) HD