えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

王になろうとした男

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

 今日のポエム

うたかたの男の夢。 

 

映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!

 

そして今回のキーワードは

 

男の童話!

 

今回もネタバレスレスレの紹介モード。

 

勝手にコネリー特集、第二弾はジョン・ヒューストン監督の『王になろうとした男』。

 

物語は1880年代のインド、当時新聞記者だった作家キプリングが3年前に結社フリーメイソンの繋がりで知り合ったカーネハンという男の回想を聞かされる。カーネハンと彼の親友ドレイボットは「王になるまでは女と酒を断つ」の誓いを胸にアフガニスタンを横断し、大河を超えて雪山の向こう側カフィリスタンを目指し、そこで本当に王になった顛末を……という筋書きだ。

 

一見奇想天外な物語だが、その背景は19世紀から20世紀初期のいわゆる帝国主義時代にかけて存在した、植民地を広げ南下政策を行うロシア帝国(旧)とすでに植民地を持っていた大英帝国と政治的および外交的対立と軍事的衝突にあった状況がある。

 

そして、そのロシア帝国大英帝国との外交・軍事の緊張を基に小説家キプリングが作り上げたのがグレートゲームという言葉であり、そんな状況に国や宗教を超えた互助組織フリーメイソンが存在していたという考えでもあり、本作はその歴史の裏面を見ているという一遍である。

 

これは、子供の頃に英国人でありながらインド生まれで英語よりもヒンディー語の方が得意だった二つの国を持っていたキプリングの東(アジア的)と西(英国的)の統合を思っていた帝国主義時代の作家的理想だったのかもしれない。

 

そんな複雑な作品群をこれを撮ったジョン・ヒューストン監督はどう料理したのかといえば、リアリズムよりも男のロマンと警句を挟んだ、早い話が「男の童話」だ。

 

もっともヒューストン監督は『アフリカの女王』(1951)、『白鯨』(1956)、『ロイ・ビーン』(1972)、『勝利への脱出』(1980)等々、男を題材にするとそんな作品ばかり撮ってきているので、これは容易に想像はできる。

 

それにヒューストンには過去作に、ある男が砂金に目が眩んで独り占めをしようとする様を描いた『黄金』(1948)を撮ったことがあるが、本作はその変奏曲(ヴァリエーション)なのは両作を観ているのなら一目瞭然だ。配役に『黄金』のハンフリー・ボガートを考えていたくらいなのだから。おそらくボガートの頭に王冠を被せたかったのに違いない。

 

そんな本来ならボガートがやるべきだった役を本作で演じているのがショーン・コネリー。そして共演のマイケル・ケイン。つまり本作はスパイエージェントのジェームズ・ボンドとハリー・パーマーの共演の趣もある。(画像はIMDb)

 

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007 ロシアより愛をこめて

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国際諜報局 パーマーの危機脱出

なので、本作の一番の見所はコネリーとケインの普段のダンディさや、ブロマンスとは違う香りの、ぶっちゃけキャッキャウフフ感だ。私生活でも親交があったふたりのラブコメチック -- ヒューストン作品なら『アフリカの女王』チックとでもいうべきか -- を楽しむのが吉だ。(画像はIMDb)

 

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王になろうとした男

つまりは、ヒューストンの代表作、『黄金』と『アフリカの女王』を足して、コネリーとケインという関数に掛けて、それが上手くいったとしか考えるしかない。

 

そして、ショーン・コネリーが、そのキャリアで一番に楽しんで演じたのが分かる。そうでなければ、キャッキャウフフなんて醸し出せるはずがないから。

 

なので、本作は原作者の本意からは外れているし、帝国主義を批判する側面も薄いし、ウェットな感動も薄い。コネリーとケインとの絡みをただ楽しく見るだけ。

 

そう、この映画はいつ観ても楽しい!

 

長々と書いてこれだよ。

 

DVDで鑑賞。

 


The Man Who Would Be King (1975) Official Trailer - Sean Connery Movie

 

 

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