えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

トップガン

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

トップガン”と呼ばれるカリフォルニア州ミラマー海軍航空基地の訓練所で、パイロットのマーヴェリック(トム・クルーズ)は相棒のグース(アンソニー・エドワーズ)とともに、F-14トムキャットを操る世界最高のパイロットを目指していた。ある日、新任教官のチャーリー(ケリー・マクギリス)が現われ、マーヴェリックは恋に落ちる。

シネマトゥデイより引用

 

映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!

 

今日のポエム

カッコいいとはこうゆう事さ

 

今回はネタバレ無しの解説モード。

  

久しぶりに観ちゃったよ『トップガン』。

 

とはいえ、自分が本作をはじめて観たのは中学生の頃でビデオからで、それからDVDで、それから今回だ。

 

まぁ、はじめて観た感想はカッコいい!だった。

 

戦闘機(トムキャット)が。

 

あ、トムクルも。(付け足し)

 

もちろん、2回目(DVD)もカッコいい!だったが、3回目のテレビ放送、からのすぐの4回目観直しのVODも感想は、やっぱりカッコいい!なのだが、どうしてカッコいい!のかが、薄っすらと解ってきたところがある。

 

それは後にするとして。本作は公開時期のせいで評価はよろしく無いところがある。その理由は二つ。

 

一つ目は映像と音楽との筋道での評価:本作ですぐに結びつく主題歌ケニー・ロギンス『デンジャー・ゾーン』や愛のテーマとして使われたベルリン『愛は吐息のように』などの歌曲。これらは当時日本でもヒットしたし、楽曲を書いたジョルジョ・モロダーのサントラも売れたため一種のミュージックビデオとしての側面で認められていたところがあった。

 

二つ目は当時の政治状況での評価:公開当時のアメリカはロナルド・レーガン大統領(1981‐1989)が政治を仕切って頃でもあり彼は共和党員で強烈なタカ派だったがために、戦闘機パイロットが主役の本作はその流れで、リベラル&右派から批判された。-- 本作でソ連のMIG-28(映画用のための架空の機体)が撃墜されるシーンがある。

 

この二つ。

 

なのでソノ評価は評論家受けが良くないのも確か。だってトマトがコレなんだから。

 

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Top Gun - Rotten Tomatoes

 

でも見ての通り、大衆受けは凄くある。

 

だって、カッコいいもの。

 

そして、それはどこからくるのかといえば、映像、画づくりであるのは間違いが無い。

 

具体的には対象物をクリアに撮るよりも明暗法で撮る。あえて陰影を強調する画にする。

 

明暗法とは絵画技法のひとつで、明と暗、光と影を極端に対比することで対象物に造形感・立体感を与え魅せるやり方だ。

 

本作はそれが貫かれている。

 

それが人物だけならともかく、空を飛ぶ航空機にさえ行われているという異常性。

 

英語版Wikipediaによると、監督のトニー・スコットことトニスコが空母から逆行で航空機の離陸と着陸を撮りたかったのに空母が進路を変更、それができなくなった。しかし、逆行からの光にこだわったトニスコはそれをすると25000ドル (現在だと、60000ドル。日本円だと約600万円) かかると言われたのにもかかわらず自腹で小切手を切ってまで撮ったエピソードがあるくらいにだ。それくらいに画にこだわった。

 

そして本作は日出と日没しか現れない、いわゆるマジックアワーで撮られたシートがいくつかある。

 

そうして、その結果が、あの映像である。(画像はIMDb)

 

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トップガン

そしてクリアに撮るよりも、あえて陰影を入れることで、大衆に何時までも語り続けてゆける作品となった。

 

そう、影こそがカッコいい。人はすべてを覚えない。詳細よりも、その輪郭さを何時までも覚えているのだから。

 

しかし、逆説的になるが、輪郭ゆえにディティールまで豊かに感じることができる。

 

そして、細かいところにこだわるのは自分のような酔狂者だけ!

 

翻って見れば、そうした撮り方は、かつてモノクロで撮っていたやり方と同じ。

 

そう、本作のカッコ良さとは『第三の男』(1949) とまったく同じ。(画像はIMDb)

 

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第三の男

なので、本作を批判することは、『第三の男』も批判している事と同じ!(極論)

 

だって、『第三の男』も公開時は語るべき物語やドラマもあったのだろうが、最終的に残ったのは、画の良さと、ウェルズと、チターの調べ、なんだから。

 

本作もまさにソレ。 

 

時々の社会状況や風俗は生モノだ。公開時には新鮮さと切実さを持って語られたのだろうが、時代が変わればソレは絶対に腐って屍肉となって落ちてゆく。

 

だが、腐って落ちたモノから現れた「何か」こそが作品の骨格と言うべき存在であり、本質でもある。それが貧弱ならソレも崩れるが、立派なら骨格だけでも充分に見ることに値する存在となるのは誰でも理解できるはず。

 

そして、本作はそれをやってのけた、数少ない作品だと言う事も理解できるはず。

 

よくやったトニスコ!

 

TV&VODで鑑賞。

 

 

 

 

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