えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

バズ・ライトイヤー (吹替)

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

 

www.imdb.com

 

スペース・レンジャーのバズ・ライトイヤーは責任感も強く有能だったが、あるとき自分の能力を過信したことから、危険な惑星に不時着する羽目になる。1,200人の乗組員たちを全員地球に帰還させるため、彼は相棒である猫型の友だちロボット「ソックス」と共に超高速のハイパー航行に挑む。そしてたどり着いた62年7か月と5日後の世界で、バズは新たな仲間となるイジーらと出会う。

シネマトゥデイより引用

 

今回はネタバレスレスレの超褒め解説モード

 

注意:今回は核心に迫るネタバレがありますが、そこを読む際は白黒反転でお読みください。ですが、純粋に楽しみたい方には読まないことをお勧めします。

 

まぁ、個人的にはディズニーの作品にはなるべく触らないようにしてきた。あそこは昔からソノ気はあったけども、今や映画産業というよりもキャラクターで商売をしているコンテンツ産業の印象が強くなって、どうも好きになれない。

 

だから、まぁ。避けていたのだが。今回限りは別。

 

だって、本格SFだったから!

 

反転開始;

まさかバズの宿敵ザーグが実は老いたバズ本人そのものだった。なんて展開はSF以外にないじゃないか。

 

アイディアそのものは古典的で相対性理論の説明で昔よく引用された双子のパラドックスのSF的解釈なのはすぐに分かる。-- 双子のパラドックスとは双子の兄弟がいて兄が光速に近い速さが出せる宇宙船に乗って地球を飛び出して戻ってくると特殊相対性理論による効果で地球に残っていた弟との年齢差が逆転して兄より弟の方が年を取っている結果になってしまうパラドックス

 

 そこに光の速さを超えたら時空に歪みが生じて、同じ時空間に若いバズと老いたバズが一緒に存在する。なんて、SFだ!としか思うしかないじゃないか。

;反転終了

 

まぁ、アイディアそのものは古典的だけども、そこに吾輩はシビれてしまったのよ。

 

あとSF好きなら、作中のアチラコチラにSF作品の引用を忍ばせていて、それを一々と語るのがめんどくさいくらいなので超うれしい状態なのさ。

 

でも、そんなSFの視点から離れてドラマのみを語れば、本作は過去の失敗を拗らせたまま、今や孤独な老人になった男が、他者こと若者たちとの交流で、今までの自分を振り返って、心根を入れ替えて新たな生き方をする筋書きなのだ。

 

ぶっちゃけ、『カールじいさん空飛ぶ家』(2009) とほぼ同じ。

 

カールじいさんの空飛びぶ家(画像はIMDb)

もちろん、主人公のバズはそんなに年はとってはいないが、長い年月が過ぎてゆく。という意味ではまったく同じ。バズは老人!

 

バズ・ライトイヤー (画像はIMDb)

だから、中盤からバズと行動を共にするイジ―、モー、ダービーはベテランのバズにとっては、その未熟さを強調するキャラ設定になっている。ただ、見た目はそんなに変わらないので観客にはすんなりと飲み込めないだけ。人によっては「ウザイ」と感じるかもしれない。そこがアメリカ本国でも日本でもそれがネックとなって評価はそんなに高くない。

 

吾輩はSF者なのですぐに理解したがな。

 

挫折したまま老人になった男の「後悔」をどう克服できるのか?本作で示した答えらしきモノは「色々な人生がある」と「ベテランのバズでも未熟なところがある」。ヒント:ハムパンハム&荒野でションボリ

 

‐‐ 仕事で手慣れているベテランが初心者のことを考慮しないで動いてしまって結果失敗する。これがベテランの未熟よ。アイツ自身の未熟でもある。前フリとして「自分もかつては未熟だった」と吐露しているし。

 

なので、頑固な男が、それを自ら受け入れてゆくことで変わってゆくドラマなのだ。

 

背景にはもちろん、今だ社会に根強く残っているヒロイズムについてまわる、男性優位社会・マチスモの影響からどうやって、そのヒーロー像から抜け出せるのか?その答えをやっているのだろが、詳しくないので省略!

 

正直、そこはあまり巧くいっていない気がするの。

 

ハッキリと言えるのはラストのバズは、現代に即した新しいヒーロー像として構築されているのは確信できる。だってさ、カールじいさんだよ。

 

まぁ、今のピクサー&ディズニーらしいよな。

 

ただ、問題は『トイ・ストーリー』の番外編として作られているので、冒頭でこれをアンディが観ている。と解説されているのだが、コレいらなくない?

 

だって、どうみてもこれは現代の価値観で、『トイ・ストーリー』が公開された1995年頃の価値観じゃねぇ。

 

これもノイズとなって本作の評価を下げているのかも。

 

まぁ吾輩は大満足なので、文句は言わんがな。

 

劇場で鑑賞。

 

 

 

 

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