えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

晩酌しながら観た『八月の鯨』

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

ストーリー

メイン州の小さな島にある別荘で毎夏を過ごしている年老いた姉妹リビーとセーラ。島の入り江には8月になると鯨が現れ、幼い頃は良く見に行ったものだった……。

スタッフ

監督リンゼイ・アンダーソン
製作マイク・キャプラン キャロリン・ファイファー
製作総指揮シェップ・ゴードン
脚本デビッド・ベリー
影マイク・ファッシュ
編集ニコラス・ガスター
音楽アラン・プライス

1987年製作/91分/G/アメリ
原題:The Whales of August

 

今回はネタバレなしのしみじみ解説モード

前回、『イニシェリン島の精霊』を観て思い出したのでひさしぶりに観なおした。『イニシェリン…』では隠し味に「孤独と死」が入っていたためであり、そこから「死」について語ったコノ作品を連想したからだ。

 

そして、しみじみとした。

 

ここからチョイと個人的なボヤキに入るが、本作は、最初に観ていた時から感想は変わっていない。いないが、やはり胸に迫ってくる圧力は違っていた。若い頃に観た時に比べてグッとくるのだ。

 

もっとも感情はともかく感想はあの頃から変わらない。コノ作品も「死」をモチーフにしてはいるが、ここで描かれるのは「死に対する惑い」だからだ。

 

歯がおかしくなりはじめ、四十・五十肩に悩まされる自分達でも、彼等に比べてまだ若造に入るのを百も承知で言い切ってしまえば、「死」とは、ある日突然にやってくる理不尽な出来事に対して、老人にとっては、それは来るべき日である必然的な出来事になる。

 

必然的な出来事では。あるが、それはやはり未知の出来事でもあるので、当然の如く戸惑う。それは思春期を迎えて戸惑う若者とまったく同じだ。コノ作品は、その「惑い」を描いている。ココに自分達が思い浮かぶ「老人の達観・諦念」は無い。

 

そうでなければ、ラストへといたる姉の挙動とラストの締めは必要が無いからだ。

 

老人には若者に比べて体力もないし気力も付きかけている。ココではそうした体感にそった流れになっている。だが、それが演出というよりも、どちらかというとデヴィッド・ベリーの優れた脚本(戯曲)と主演の姉妹が醸し出しているとみた方が良いかもしれない。つまり主演のベティ・デイビスリリアン・ギッシュの伝説的2大女優共演が功を奏して、それがコノ作品を形作っている。

 

そして。若い頃は 、そこまで腑に落ちなかったが、それが実感ができる歳になりつつあるという事なのだろ。

 

八月の鯨(予告より)

今回は、らしくはないが、たまにはこんなのも良いだろう。

 

DVDで鑑賞。

 

 

 

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