えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

映画閑話『宇宙からのメッセージ』

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

真田広之さんエミー賞18部門受賞おめでとうございます👏

 

 

これに便乗して今回は出演作、『宇宙からのメッセージ』についてのアレやコレやを書いてみたいと思います。

 

 

SHOGUN』や無いんかい!とツッコまれるだろうが、ココは私のテリトリーなので、好きにやらせてもらう。

 

さて、『宇宙からのメッセージ』とは1977年あの『スター・ウォーズ』の爆破的大ヒットに便乗して東映が制作した和風スペースオペラ略して和風スペオペなのだが、その内容は……

 

遥か未来、ある惑星が異星人の侵略を受けて滅亡寸前な状況で、そこの長老が最後の頼みの綱 、八つのリアべの実を宇宙に放ち助けを求めた。そうして集まったのが、宇宙暴走族の青年シローとアロンと宇宙放蕩娘のメイヤ、飲んだくれの宇宙退役軍人ガルダ、宇宙チンピラのジャック、宇宙執事ロボットのベバ、宇宙裏切り者シロッコ、異星人の正統な後継者で宇宙王子ハンスの面々で、さてドウナル?な流れ。

 

ぶっちゃけベースは里見八犬伝

 

コノ映画を撮った深作欣二は後に『里見八犬伝』も撮ったしな。

 

余談だが、いちおうリアべの実が選ぶ戦士は、それなりに納得のゆく説明があるのだが、ジャックとベバの役割が「ソレだけかい!」なのはツッコミどころ。

 

そしてコノ映画は、『スター・ウォーズ』(以下、SWと略)の米本国から日本公開までに1年の時間があったので、その前に興行として出されたせいもあるが、当初は評価は良く無かった。

 

特にSFプロパーから批判された。

 

どうも『SW』に比べて、やっつけ仕事で話題性に乗っかった儲け優先で、志しが低い作品だと取られたらしい。

 

自由国民社刊『世界のSF文学 総解説』でのノベライズ紹介で〈凡作〉と書かれたくらいだから。

 

でもね、剣劇本家(?)よりも、コノ映画の方が迫力があるし、メカも好みなんだよ~(ハイ当ブログのお約束)

 

数年置きに観直すしね。(お約束その2)

 

当時のSFプロパーは、それだけ『SW』をSFとして見ていたわけだが、それも1983年『SW/ジェダイの帰還』でトーンダウンすることになる。

 

さて、先にコノ映画はノベライズされた。と書いたが、作品の構想に仮面ライダーシリーズの石ノ森章太郎(当時は石森)とSF翻訳家で作家の野田昌宏が入っていたので、当然が如くノベライズもコミカライズもされた。

 

された……のだが、ノベライズもコミカライズもコノ映画と内容が違う。全然違う!

 

まずノベライズは、八つのリアべの実は映画どおりだが、集まったのが宇宙義賊(?)のシローと玄八、ウロッコを拾い上げるメイヤ、ノンノ、シジミの女三兄弟宇宙海賊、動物使いのアロン。

 

ジャックとハンスがいない世界線

 

小説としては、文体がべらんめえ調で歯切れが良くスラスラと読めるので苦にはならないし、むしろ面白いが、制限枚数を使いはたしたのか、いざ決戦で急に物語を畳むので、アレアレオイオイな気持ちに。

 

コミカライズの方は、主要登場人物も物語もほぼ映画どおりだが、これで終わらない。これがPART1なら現代を舞台にしたPART2がある。

 

PART2はシローとアロンとメイヤが荒れた若者として登場して暴走して海へと転落、そこに通りかかった女優とシロッコと名乗る者に救われる。そこにサイボーグ004似のハンス、ジャックとガルダ、何故か人間になっているベバとめぐり逢い、自分たちがいる海域があのバミューダだと知って驚く中に帆船が漂ってきて乗り込んでみれば、それは宇宙船で、そこに集まった彼らはかつて未来で侵略者と戦ったことが……。

 

お前は何を言っているのだ?と聞かれたら、正直に「わかりません」と答える。

 

ただ、石ノ森にはSFとは別に幻想的な作品を多々あるので、その流れなのはわかる。

 

どちらにせよ、ノベライズもコミカライズも映画とはまったく別物。

 

当時はコラボレーションなんて概念は薄かったとは思うが、コレらはまさしくソレ。

 

 

もうチョイ余談だが、コノ映画に登場するハンス王子のモデルは「殿下」として呼ばれたノロドム・シアヌークだろう。シアヌークは最初はカンボジア国王だったが、当時の宗主国フランスから独立を勝ち取ってのちに国王の座を父に譲り「シハヌーク殿下」と言われるようになり政治に参加、それが反米的だったので、工作により北京在住中にクーデターが起きて王政が廃止、シアヌークは共産勢力と組んでカンプチア民族統一戦線を外から支援して内戦を勝ち取りクーデター派を倒して故郷へと戻ったが、今度はポルポト政権に軟禁され、その後は隣国の介入でポルポト政権は倒れて国王に復帰するという筆舌に尽くしがたい人生を送っている。

 

ようするに、コノ映画は意外にも反体制的要素を持っている……かも。

 

さらに追加の余談だが、シアヌーク殿下の「流浪のプリンス」のイメージはジャパニーズサブカルチャーにも影響をあたえていて、彼がいなければ『ウメ星デンカ』のデンカやUFOロボグレンダイザーのデューク・フリードや合身戦隊メカンダーロボのジミー・オリオンが誕生していなかったのは間違いがない。

 

今回はこれで……

 

 

監督:深作欣二
特撮監督:矢島信男
脚本:松田寛夫
原案:石ノ森章太郎 野田昌宏 深作欣二 松田寛夫
製作:植村伴次郎 渡邊亮徳 高岩淡 平山亨 岡田裕介 サイモン・ツェー 杉本直幸 伊藤彰将
撮影:中島徹
美術:三上陸男
背景:西村三郎
音楽:森岡賢一郎
録音:荒川輝彦
照明:若木得二
編集:市田

映画.comより

 

 

 

 

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