えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

隠れた名作『ウォー・ゲーム』

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

ストーリー

ワシントン州シアトルの高校生デイヴィッド・ライトマンマシュー・ブロデリック)は、学業の方はさっぱりだが、パソコンに関しては天才的少年だった。学校のコンピューターに自分のパソコンをインプットして、生物の成績をF(落第)からC(水準)に変えるなど朝飯前。ついでにクラスメートのジェニファー(アリー・シーディ)のもFからAに変更してやる。その夜、デイヴィッドは雑誌でプロトヴィジョンがクリスマスに新しいゲームを売り出すという広告を見つけた。

スタッフ

監督ジョン・バダム
脚本ローレンス・ラスカー ウォルター・F・パークス
製作総指揮レナード・ゴールドバーグ
製作ハロルド・シュナイダー
撮影ウィリアム・A・フレイカー
美術アンジェロ・グラハム ジェームズ・J・ムラカミ
音楽アーサー・B・ルビンスタイン
編集トム・ロルフ

1983年製作/114分/アメリ
原題:Wargames

映画.comより引用

 

タバレスレスレの解説モード

 

いきなり愚痴から入ると、最近忙しくて疲れがたまっているのか映画を観ていると寝落ちする頻度が増えてきて、新作について語る感情がないのです。なので、ブログに過去塩漬けされたヤツから塩を取り除いて何とかしてみた。

 

とういう訳で、「隠れた傑作」こと「隠れた名作」として新たにラベリングし直してココに出す。

 

さて、コノ作品。公開当時はアメリカ本国では大賑わい、日本でもそれなりに話題となっていたのだけども、その話題性がゆえに、今やほぼ語られていない存在になってしまったところがある。それは……

 

A:電子機器をあえて誤動作をさせて愉しむハッキングというカルチャーとそれをしているハッカーという人々をよにさらけ出したこと。

 

B:ハッキングが日常の電子機器だけではなく国の行政レベルでも可能だったこと。

 

この2点。Aに「えっー?」とツッコミが入りそうだが、スティーブン・レビー著『ハッカーズ』によれば、50年代にハッカーの雛形となる者はすでに存在はしていたが、それが顕著になりはじめたのはやはり70年代からになる。初期は政治色の強い行為だったのにパソコン通信の登場でカジュアルなものとして変化していてのコノ作品となる。もちろんソレ以降にハッカーが電子機器のセキュリティを攻略する設定されることになる。

 

-- でも、そのほとんどが、テクノロジーなら何でも解決できちゃう都合の良い扱いでさ、リアルさはコノ作品もふくめて三つくらいしかない状況なのさ。(σ(゚∀゚ )オレリサーチによる)

 

B:はちょっと問題となった。コノ作品を鑑賞した時の合衆国大統領レーガンがショックを受けて映画のように部外者の侵入が可能性を調査させたところ深刻な事態だったので、セキュリティの強化をするために部内と部外を判別して部外者に対して障壁をつくるファイヤーウォールが誕生した。コノ作品がなければ世に現れるのは遅かったかもしれない。

 

ここまでは現実の話だが、もちろん映画ならではのウソもある。核戦争の自動化と核攻撃の判断と反撃を人工知能AIがする件だ。自ブログにも『未知への飛行』でも書いた相互確証破壊を前提に米ソとも仕組みこそ違え核攻撃による報復システムはすでに構築してはいたが、判断と発射の決断は人間が担っていたのをコノ作品では<WAPR>ことジョシュアというAIが行う設定となっている。このジョシュアは学習型AIそのもの。現在のAIはネットの情報をサーチして文章や絵まで作り出せるところまで来たが、その源流がコレ。当然のことながら映画に登場したAIも最新作をふくめて、いまだにコレを超える存在はまだ出ていない。

 

つまり映画ではじめて登場したリアルなAIになる。そんなリアルなAIとは何か?ココでは「どうやってゲームで敵よりも優位になれるのか」をひたすら計算して、勝つ手数を増やしてゆく、そんな仕様になっている。

 

作中で主人公が「これはゲームか、それとも事実か?」と問うと、ジョシュアが「同じ事でしょう」と答えるやり取りは、まさしく学習型AIの仕様そのもの。

 

そして大事なポイントは、学習型AIは問題解決のために動作し続けるが、そこに倫理や道徳心は持ち合わせていないところだ。

 

ざっくり言ってしまえば、AIには想像力が無い。想像力とは論理の外側にある要素だからだ。だから学習によってその論理を作ってやらなければならない。

 

だから、あのラストシーンへと結びつく訳だ。

 

まぁ、コノ作品は公開当時としては新しいものづくめである。あるのだけども、やはり風俗なので、今ネタであり、腐ってゆく。核不拡散の時代に相互確証破壊の緊張感なぞ理解できるはずもなし、前述したとおりコノ作品で描かれたハッキングは現在ではほぼ通用しなくなってしまった。

 

‐‐ なによりも、クライマックスの激しい光の点滅がポケモンショックと同じ効果をもたらす可能性があるので簡単にはお薦めできない状況になってしまった。

 

とまぁ、何から何まで現在では通用しなくなった。

 

コノ作品以降、フォロワー的作品がいくつか作られたが、それらは同時代人以外には覚えられていないのもソウユウわけ。

 

とはいえ、これらは食い付きが悪くなってしまっただけで、完全に評価できなくなってしまった訳ではない。展開にメリハリがついているから今観ても結構に面白い。

 

ウォー・ゲーム

そして、どこかで誰かがすでに指摘しているだろうけども、ハッカーとハッキングを題材にしたことで、結果として本来ならあり得ないはずの青春コメディとポリティカルスリラーが融合されたドラマとなったから。

 

BDで鑑賞。

 

 

 

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