ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

注意:今回は核心に迫る内容については言及しませんが、純粋に楽しみたい方には読まない事をお勧めします。

好きです。
前作『ジョーカー』(2019)では気負いが鼻についてうまくノレなかったが、今回はOK!
いや、「面白い?」のかと聞かれたら、「つまらない」と答えるが……
好きです!
さて(しらばっくれる)、内容は前作から2年後、五つの殺人事件で裁判が開かれようとしていたジョーカーことアーサーは州立病院で勾留されていた。そこで無為に過ごす中、ある日別棟にいた女性ハーレイ・“リー”・クインゼルと出会い積極的な彼女に惹かれて恋に落ちるが、どうなる?な流れ。
本作は公開直後、批評家からも大衆からも批判されたいわく付きな作品で、確かに前作の焼き直しなのはまったくもって「そのとおり!」なのだが、トッド・フィリプ監督は今回は迷いが無く確固たるビジョン・イメージで撮っているのは感じられる。
なぜなら、自分等こと観客を喜ばせようとする感じがまったく無いからだ。あの、ダサいミュージカルぽいのは何よ!
これを日本円にして300億円つぎ込んだ超大作でそれをやるか。
こんな出来になったのも、前作に自分を投影しすぎて「俺はジョーカーだ!」と勘違いしてしまった者共が多くいたからなのだろう。「俺はトラビスだ!」と勘違いしたのと同じ。

でも、『タクシードライバー』(1976)の時代と違うのは現在はネットの時代であり共感で仲間を増やしてゆくSNSが主流でありアルゴリズムも極端な「美しい」、「楽しい」などの感情が早く伝わりやすいのと同じ様に「憎い」という嫌悪の感情も急速に伝播しやすい状況。
その究極が2021年米合衆国議会議事堂襲撃事件になる。
また、それか。とはツッコまれても、そうとしか言いようがない。
そうゆう背景があるので、まさしくネットのカリスマで人気があるが、実はただの凡人で、皆が見ているのは表層だけで本質では無い、という超しょっぱいドラマ。

だから、本作は続編というよりも、副読本とかの位置にある。まぁ、アメコミぽいといえば、ぽい……のか?
ただ、前作と本作とを比べるとジョーカーという正体がより浮かび上がっているのも確かで、それは誰にでもとりつく純粋な「悪」という設定になっている。ヒント:化粧と煙草
ここでの「悪」とは、キザだが、愛の無い世界で世を憎む事で己のアイデンティティを保つ唯一の存在で、ジョーカーが中にひそむアーサーもソウだったが、ある人物の誠意でソレが剥ぎ取られて元に戻る。
そうゆう意味では前作が「悪」のジョーカーからの視点になっていたのに対して本作は「凡人」アーサーの視点であり物語でありドラマになっている。

もちろん、そのアーサーは中身の無い空っぽな人として現れるのだが、それが自分には身に迫ってたまらなくせつない。
好きだなぁ。
劇場で鑑賞。
監督:トッド・フィリップス
製作:トッド・フィリップス エマ・ティリンジャー・コスコフ ジョセフ・ガーナー
製作総指揮:マイケル・ウスラン ジョージア・カカンデス スコット・シルバー マーク・フリードバーグ ジェイソン・ルーダー
脚本:スコット・シルバー トッド・フィリップス
撮影:ローレンス・シャー
美術:マーク・フリードバーグ
衣装アリアンヌ・フィリップス
編集:ジェフ・グロス
音楽:ヒドゥル・グドナドッティル
データと画像は映画.comより
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